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中国+インド=CHINDIA(インド訪問メモ その1) (2007年04月01日)

  世界の成長センターとして、中国とインドは2006年にそれぞれ2.6兆ドルと0.8兆ドルのGDP(国内総生産)を記録した。経済大国アメリカの12.3兆ドルや日本の4.5兆ドル(いずれも2005年)と比較すればまだまだ規模が小さいと言わざるを得ないが、ゴールドマン・サックス証券が2003年に発表したレポート「Dreaming with BRICs: The Path to 2050」では、2050年頃にはGDPの順位が①中国(44兆ドル)、②米国(35兆ドル)、③インド(27.8兆ドル)、④日本(6.6兆ドル)になると予測されている。

 一部の国際アナリストやメディアでインドの台頭を、急成長を続けてきた中国をけん制するパワーと考えている気配もある。これはインドと中国との間にある過去の対立関係や、異なる政治体制を理由にしているようだが、世界経済の融合と連携深化が進むグローバリゼーション時代において、広大の国土と膨大な人口を擁する二つの国は世界の生産拠点と消費市場として共生できるように思われる。

 インド経済成長の「立役者」とも言われているインド商工大臣のカマル・ナート氏が3月に、フォーブス誌の質問に対して、「『中国対インド』ではなく、『中国とインド』というとらえ方をしてほしい」と答えたのも同じ考え方を持っているからだろうと思われる。実際、ここ2、3年来、中印の指導者が頻繁に相互訪問を行っており、貿易規模も年々健康的に拡大している。

 最近、「CHINDIA」(シンディア)という合成語がメディアに頻出している。「CHINA」と「INDIA」を組み合わせたこの新しい言葉を世に送り出したのは、インドの著名な経済学者であり商業・産業担当国務大臣でもあるジャイラーム・ラメーシュ(Jairam Ramesh)氏である。氏は『Making Sense of Chindia』 という本を書き、政治経済、文化歴史等の多くの角度から世界で最も人口の多い二つの大国を分析し、「世界の工場」の中国と「ソフトウェアとITサービス」のインドの補完性を力説している。

 実際、中国の情報産業は昔からインドをモデルとしてきた。情報産業省(信息産業部)の確立、ソフトウェアパークの建設等のアイデアにインドの経験が多く生かされていることは周知の事実である。現在も日本向けオフショアリングで知られている大連のスローガンは「中国のバンガロールを目指そう」である。そして最近、天津や成都も将来「中国のバンガロール」になると宣言している。成都は昨年4月、バンガロールと姉妹都市の条約を交わし、成都来訪のバンガロール市長Mumtaz Begum女史よりIT分野の協力を約束してもらった。この領域ではインドは紛れもなく中国の鑑である。

 このようにある種の憧れを抱きつつ、2月25日から6日間インドを訪問した。NHKスペシャル『インドの衝撃』が放送されてから約1カ月後のことだった。(続く)

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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