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プネー、東方のオックスフォード(インド訪問メモその2) (2007年04月16日)

 日本航空JL471便が成田空港の滑走路に入ったのは午前11:10だったが、デリーのインディラー・ガーンディー国際空港に着陸したのは21:30だった。それからシャトルバスで6km離れたパーラム国内線空港に移動し、遅刻して夜中2時に出発したキングフィッシャー・エアラインズで、同3:30に最初の目的地プネーに到着した。30分後市内のホテルにたどり着いたが、自宅を出たのは7時過ぎだったことを考えるとちょうど16時間を費やしていた。インドは遠いことを実感した。(時間はすべて日本時間。インドと日本の時差は-3:30。)

 ちなみに、キングフィッシャー(Kingfisher Airlines)は「キングフィッシャー」ブランドのビールで有名なユナイテッドブリュワリーズ財閥(UB)の航空部門である。我々はパーラム空港の同社専用待合室で初めて、インドで一番有名であり、1994年のストックホルム国際ビールフェスティバルで「最優秀賞(ベストラガー賞)」を受賞したキングフィッシャービールで乾杯した。旅の疲れを忘れさせる味だった。

 プネーは人口488万人でインド8番目の都市である。ムンバイから120km離れた海抜600mの高原に位置しているため、大都市の富裕層の避暑地としても名高い。更にここはインド教育や学術研究の中心地として東方のオックスフォード(Oxford of the East)と呼ばれ、インド国内だけでなく、世界の若者が集まってくる憧れの地である。総合大学のプネー大学以外にも17校の工科大学があり、毎年数多くのITエンジニアを世に送り出している。また、インドで最も権威があるIT研究開発機関であるC-DAC (Center for Development of Advanced Computing)の本部もプネー市内にあるため、昔からソフトウェア人材が集中している場所でもある。

 プネーは、「東方のシリコンバレー」とも呼ばれている。郊外にはHinjewadi、Talwade、Kharade、 Pune IT Park、Magarpatta Cityといった、5つのソフトウェアパークが点在し、多くのオフショア・ベンダーがここに開発拠点を持っている。オフショアリングの分野においてはバンガロール程知名度は高くないが、欧米のエンドユーザの間では第二のバンガロールとも呼ばれている。

 また、プネーはインドで最も日本語教育が早く盛んな町でもある。1971年、プネー印日協会によって日本語教育が始まって以来、約1万人の学生が日本語を勉強しており、毎年約2千人が日本語能力試験(JLPT)を受けている。このためインドではJLPT受験者数の最も多い都市でもある。

 2月26日、我々は従業員数200人規模のある中堅ベンダーを訪問した。まず驚いたのはこの会社の日本語コミュニケーションスキルの高さである。2004年から日本よりプロの日本語教師を2名採用し、年間目標を立てて日々の日本語教育プログラムをこなしてきた。プネーにいた2日間に、CEOからプログラマーまで同社のスタッフ十数名と会ったが、ほぼ全員が流暢な日本語で応対してくれた。同社CEOは、日本語コミュニケーション力を生かし、インドのベンダーの中で日本向けオフショア開発のナンバーワンを目指したいと語った。(続く)

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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