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ソフトウエアパークのある町を行く (無錫 上) (2007年05月12日)

 尾形大作の最大のヒット曲である「無錫旅情」によって日本人の間でも知名度が高くなった無錫だが、その名前の由来について聞かれることが多い。本来、無錫は錫(スズ)を多く産出していた時期があり、土地の名も「有錫」という名の鉱工業都市だった。しかし、長年にわたって掘り過ぎたため、漢の時代になると錫が無くなり、町の名前も「無錫」に変わったという。今も名ばかりの錫山が残っている。

 無錫は東の大都会・上海からは128km、西の省都・南京からは183km。上海からは鉄道もあるが、浦東国際空港を利用する場合、駅までのアクセスを考えれば上海~南京間の滬寧(こねい)高速公路を利用する方が便利だと現地企業の日本駐在員に薦められたまま、浦東空港を出たら事前に予約していた旅行会社の車に乗り込み、無錫へ向かった。4月5日は24節気の清明に当たり、中国では墓参りの日であるが、正午だったためか、友人が警告していた渋滞は特になかった。

 滬寧高速は片道4車線、渋滞もなく道路の舗装状態も極めて良い。制限速度は120kmだから高速道路での走行時間は1時間程度で快適だったが、浦東から高速に乗り入れるまでは1時間20分もかかった。ただ、高速の入り口は上海虹橋空港に近いので、すでに日中首脳会談で合意された羽田~虹橋間の国際シャトル便が就航すれば、無錫アクセスによるストレスはかなり緩和されるはずである。

 無錫は2004年に科学技術省が認定した国家火炬計画(注1)ソフトウエア産業基地である。国家レベルのソフトウエアパークの中でも認定が遅い方だが、無錫は同時に国家ICデザイン産業化基地(全国7か所)、国家アニメーション・ゲーム産業基地(全国15か所)でもある。2010年までにはIT関連の企業は300社に、BPOに従事する技術者は5万に成長する計画だから、オフショアリング先進都市の大連の現在の規模に匹敵する数字である。

注1:「火炬(たいまつ)計画」とは、88年8月にスタートしたハイテクの産業化推進を目的とする国家プロジェクトである。主な分野は新素材、バイオ、電子・情報、光・機械・電子一体化、新エネルギー、高効率省エネ、環境保全など。「火炬計画」の国策プロジェクトとして、88年北京の「中関村」が中国初のハイテク産業開発区と認定されて以来、全国53の国家級ハイテク開発区がオープンし、およそ3万社のIT、バイオなどのハイテク企業が入園し、約300万の人たちが働いている。現在、毎年1,000項目以上の国家級たいまつ計画が発表されている。(《新語・流行語から中国の「今」を見る!》より)

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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