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中国製品の安さに頼らない経営 (2007年07月30日)

 みみっちい話で恐縮なのですが、私の会社のオフィスが入っている幸福大厦(しんふーだーしゃー)の食堂の昼の定食が、何の予告もなく突然、8元(128円)から10元(160円)に値上がりしました。値段的にはたった2元(32円)の値上がりなのですが、元々が安いので率にしたら25%の大幅値上げです。

 食堂のおばちゃんに値上げの理由を訊いたところ、「食材の値段が上がったからよ。いやなら外で食べな!(意訳)」とのことでした。

 この食堂の定食は、肉料理1品、野菜料理1品、スープ、ご飯とボリュームたっぷりです。外のレストランでこれだけのものを食べようと思ったら、少なくとも20元(320円)はかかりますので、25%上がろうが50%上がろうが、依然として軍配は幸福大厦の食堂に上がるのです。

 今、これと同じことが貿易の世界でも起こっています。

 中国政府はこの7月1日から、輸出税の還付を大幅に削減しました。

 中国は輸出品に対して、一律17%の輸出税を課していますが、品目によってその輸出税の一部を還付しています。

 今回の措置で中国政府は、セメント、一部金属製品など553品目の還付をゼロにし、衣料品、玩具など2,268品目の還付率を引き下げました。これだけ大規模な還付の削減は異例なのだそうです。

 これは人民元は緩やかに元高になっているものの、輸出はどんどん増加し、中国の貿易黒字が今年1-5月で857億米ドルと、前年同期比で83%も増加したことに対する輸出抑制策です。これにより中国の輸出品は、最大で17%値上がりすることになりました。

 しかし、多くの商品で、中国製品が17%値上がりしても、他の国の製品や日本製の製品よりまだまだ安い、という状況が続くことが予想されます。今まで日本製の1/5の価格で買えていたものが1/4になった、という感じではないでしょうか。

 25%値上がりしても外のレストランよりはまだまだ安い、幸福大厦の食堂と同じです。

 今後、中国製品は元高と労働コストの上昇に加えて、中国政府の輸出抑制策により、どんどんその輸出価格が上がっていくことが予想されます。

 中国はもう既に世界の工場ではありません。

 中国製品を輸入している日本企業は、早急に中国製品の安さに頼らない経営にシフトする必要があるのです。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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