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コンピュータシステム開発の業界では… (2007年08月20日)
コンピュータシステム開発の業界では、業務内容は上流工程と下流工程とに分かれている。現在、詳細設計やコーディング以降のいわゆる下流工程の業務はオフショア開発(海外への委託開発)の主な対象である。野村総研の予測によると2008年、総額6,940億円となり、日本の業界市場規模に対する割合は4.9%になるという。一方、オンサイトでも多くの外国人技術者が来日し、下流工程の業務を中心に日本企業(システムインテグレーター等)で活躍している。出入国管理局の統計によると2005年末現在、技術ビザで滞在する外国人は29,044人だった。あれから2年が経った今、この数は4万人とも5万人とも言われている。ちなみに日本の情報処理産業全体の従業員数は60万人と推定されている。
技術者派遣とオフショア開発を主業務とする外資系企業も年々増加している。筆者が作成しているリストではすでに150社を超え、大半は中国系だが、韓国、インド、ベトナム等の国々の企業もある。 つまり、市場全体に対する割合はまだ低いかも知れないが、下流工程は徐々に外資系企業と外国人技術者が担う仕事にシフトされており、今後も規模は拡大していくだろうということである。 ところが最近、彼らは下流工程だけでなく、上流工程にも食い込み始めた。日本の大学や大学院を卒業した後、この業界に入った外国人の中には10年以上経験を積んだ人も多く、彼らは日本語もスキルも一人前である。また、規模拡大を図り、ベテランの日本人技術者を中途採用する外資企業も多くなってきた。下流工程の業務で蓄積した経験と資金力を生かして、日本人社員を巻き込んで上流工程においても顧客に急接近しているのである。 ここで日本の中堅システムインテグレーターは新しい局面に臨むことになる。今までの外資系ビジネスパートナーがある日突然顧客の仕事を奪い合うライバルになるのである。この局面にどう対応していくのか、多くの企業の重要な経営課題になるに相違ない。 |
コラムニスト | 文 彬 |
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最終更新日 | 2011-08-20 |