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8月8日の8時から天安門広場で… (2007年08月26日)
8月8日の8時から天安門広場で行なわれた「オリンピック開催カウントダウン1年イベント」で、「両岸三地」(中国大陸、香港、台湾)の歌手133人が歌う、オリンピック開幕カウントダウン1年記念ソング《We Are Ready》(我々は準備が出来ています)が予定通り披露された。広大な天安門広場は群集で埋まり、お祭りムードが盛り上げられた。湧き上がる歓声とともに《We Are Ready》の歌声が電波に乗って世界中を駆け巡った。
しかし、本当に準備が出来ているのだろうか、北京から戻ってきたばかりの筆者もそのような質問をされると、返答にためらってしまうのである。 有史以来最大のオリンピックを目指している北京政府と厳しい現実のコントラストは極めて悪いと言わざるを得ない。「鳥の巣」の愛称で呼ばれるメインスタジアムや地下鉄をはじめ、大型建築現場は地上と地下で同時に進行しているが、完成されたものは少ない。予定より大幅に遅れている工事も多い。海外メディアから本当に本番に間に合うのかと危ぶむ声まで出ている。 環境問題も酷い。北京政府は人工降雨技術を持っているため、オリンピックの開会セレモニー時の晴天を保証すると豪語しているが、慢性的な大気汚染には未だ打つ手はなさそうである。これ以外にも食品安全、市民(観客)のモラル、交通渋滞等不安要因となりそうな問題は山積みである。 だが、北京政府と北京市民の大半は相変わらず自信満々のようである。「振り返ってみると、過去の五輪大会もすべての問題をクリアしてから開会したのではないのだから」と北京で会った友人は言う。「発展や進行の中で問題を解決していく」というのが中国では支配的な考え方のようである。 |
コラムニスト | 文 彬 |
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最終更新日 | 2011-08-20 |