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第7話 Possicobilities初来日 (2007年09月01日)

 Possicobilities(ポッシコビリティーズ)、この不思議な響きのスペルを検索エンジンで叩くと、ヒット数は約1万件にものぼる。Possicobilitiesは上海のJazzグループ。可能性の英語のpossibilityに、リーダでボーカルCOCO のcoを挿入した造語である。大ブレークとは未だ言えないが、ブレーク中である事は間違えない。昨夏,今夏には北米と欧州ツアーで、耳の肥えた欧米の聴衆を魅了した彼等の音。その彼等が、10月初旬に初来日する。是非、そのライブに足を運んで戴きたい。



 中国で10万部発刊のフリーマガジン「SUPER CiTY CHiNA」で、今年始めまで執筆していたコーナー「中国の音」、そこで既に私はPossicobilitiesを3度紹介している。
『2006年2月号 可可→COCO ♪Look at me~』より
 今、彼は新たな挑戦を楽しんでいる。それはChinese Jazz。1920-30年代の上海old Jazzをリメイクし、さらに自らが創造する新たな曲も。中国語で唄うのが自然。正しい土台、しっかりした音楽教育の上に築かれた確かなテクニックに裏打ちされた新たな音楽。奇を衒う事の無い自然で自由な音、聴いた事の無い音だが安心して聴ける。 ~中略~ 上海という場所は一体何なんだ。このパワーは何なんだ。そしてこの70年代生まれの中国人若者の才気は、何なんだ。  
『2006年6月号 彭飛迷 天才Jazz Violinist』より
 豊かな情操と超ハイテク。相反する2つを自然に操る彭飛。詰め込み重視の英才教育を幼児期から受けなかったことも要因だろうし、彼の揺るぎのない人生観(まずは自分が音楽を楽しむ)も大いに関係しているであろう。前途洋々の中国人の若者に、無限の可能性を感じる。
『2006年8月号 夢境 Dream Situation』より
 彼等自身が生み出し、そして奏でる全く新しい音楽、中国Jazz。音楽の英才教育に裏打ちされた抜群のテクニック、Jazzにとって肝であるblackなリズム、豊かな感性、中国人としての気概、進取の精神、それらが織り成す新しい音。それがジャズグループPossicobilitiesの音楽だ。世界の音楽シーンを変える可能性さえ秘めている。 

 Possicobilities初来日のライブ演奏は、10/6(土)13:50~横浜Jazzプロムナード 、10/8(月祝)14:00~&16:00~玉川高島屋 など。詳細は、来日の企画・マネージメント全てをプロデュースされる菊池領子氏のhomepageを参照願います。注1)

 何故再び、Possicobilities を取り上げたのか? それはすこぶる単純な理由からである。まず、Possicobilitiesの大ファンの1人として、初来日での成功を応援したい気持ちから。2点目は、本エッセイ“老松の猫虎飯店”の主旨である異文化交流に直結するから。とにかく、1人でも多くの方々に彼等のサウンドを聴いて欲しい。彼等の1stアルバムを是非試聴あれ。注2) 私自身、四半世紀前にプロのJazzピアニストであった事から、音楽、特にJazzには関心が高い。上海在住を始めた2001年、彼等を含めた中国のコンテンポラリーミュージックに触れ、その質の高さとセンスの良さに仰天した。しかし、それ以前はと言うと、“中国の音楽? 中国古典民族音楽はそりゃ凄いだろうが、JazzやR&Bは到底まだまだでしょ。だって、中国のクラシック音楽でさえ、ただテクニック頼りで、正確に速く弾けるだけの面白みの無いものだから...” その程度のお寒い認識でしか無かった。ところがである、彼等を代表とする中国の今の音楽に触れ、頭と心を打ち抜かれた。この私の過ちこそ、これこそ正に異文化交流を邪魔する尊敬の無さ、偏見、先入観である。今思い返してみても、穴があったら逃げ込みたい。

 最後に、COCOからのメッセージを。 「日本の皆様&日本在住の中国人の皆様; ニーハオ! 初来日、とてもワクワクしています。オールド上海の音を今風なfusionやJazzにアレンジし直した曲や、自分達で創った新曲、それらを皆さんに聴いて戴けると思うと、すごく興奮しています。ライブ会場でお逢い出来る事を心から楽しみにしています!」

注1) 日中を中心に東アジアの舞台芸術交流を推進するプロデューサー菊池領子氏のhomepage
注2) Possicobilitiesの1stアルバム「Dream Situation」の全曲が、上記 注1)のsiteで、頭の1分程試聴出来ます。初来日の情報も全て掲載されています。
注3) 『老松の猫虎飯店』の著作権は、全て松原弘明に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

改訂:9月01日
初版:8月31日

コラムニスト 松原弘明 Right
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最終更新日 2011-08-20

 

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