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カネは借りても返さない (2007年09月01日)

 今、世界の株式市場は、アメリカの低所得者向け高金利住宅ローン、いわゆるサブプライムローンの焦げ付き問題という爆弾を抱えて、乱高下を繰り返しています。

 このサブプライムローン、融資残高は約1兆ドルとのことなのですが、うち、2,000億ドルが債務不履行になっている、と言われています。

 しかし、先日、中国社会科学院の金融専門家は、中国の住宅ローン残高は約4,000億ドルに上り、その回収可能性はアメリカのサブプライムローンよりずっと低い、という見方を明らかにしました。

 問題となっているアメリカのサブプライムローンでさえ、借り手の信用を審査する制度があるが、中国の住宅ローンは住宅購入目的であれば誰でもお金を借りられるようになっているのだそうです。

 さらに、多くの人が「一度手に入ったお金は、たとえそれが借りたものであっても自分のものだ」と考えている中国では、債務不履行の確率はアメリカよりずっと高いことが予想されますので、これが顕在化すれば、アメリカのサブプライムローン以上の悪影響を世界の株式市場に及ぼす可能性があります。

 これはビジネスの世界でも同じです。近頃はかなり良くなってきた中国企業の金払いですが、日本に比べるとまだまだカネを払わない企業が、圧倒的に多いのが現状です。

 中国企業はどうしてそんなにカネを払いたがらないのか不思議だったのですが、先日、当社の引越子会社・外運華通の財務資料を見て、その理由がようやくわかりました。彼らは売上代金を回収すると、それを全額利益計上してしまう、という、かなり乱暴な会計原則に基づいて、会社を運営していたのです。

 日本では、売上が立ったら、そこから売上原価を引いた売上総利益を利益計上するのが普通です。売上原価は最初から折込済みですので、買掛金は支払期日が来たら契約通り支払います。
 しかし、外運華通の会計方法ですと、先に売上代金を全額利益計上してしまっていますので、買掛金を支払うと利益が減ってしまいます。これでは仕入れ代金を払いたくなくなるのも当然です。

 モノは買っても払わない。カネは借りても返さない。

 こうした中国の悪しき商習慣を改めるためには、まずは「一度手に入った売上金や借入金は、全て自分のものだ」という考え方をやめてもらう必要がありそうです。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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