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薄型テレビ:生産ラインを持っている海外ブランド・・・ (2008年09月03日)

 賽迪顧問は、長期にわたりフラットパネル(薄型)テレビ市場に対する調査を行っている。市場の現状と発展動向について研究した結果、最新の「2007年第2四半期中国薄型テレビ市場研究報告書」の中で、企業向け製品、サービス、技術等の全面的な競争戦略作りに信頼できる情報を提供している。

 賽迪顧問の報告書は、2007年第2四半期、薄型テレビの販売量は季節別の特徴が現れ、5月は大幅に増えたが、4月、6月は低下し、総販売量が第1四半期より少なくなったことを示している。

 賽迪顧問の調査では、第2四半期、中国薄型テレビの販売量は156.21万台(第1四半期より10.56%減)売上高は132.8億元の人民元(第1四半期より13.4%減)であった。長虹、海信、創維、海爾等の国内メーカーが相次いで32インチのプラズマテレビを発売するなどといった、生産能力の拡大と国内メーカーの積極的な参入がプラズマテレビ市場の安定成長の主な要因となっている。逆に液晶テレビの総販売量は以前より減り、その主な原因として国産ブランドの売れ筋である32インチ製品のパネル品切れの影響が考えられている。




 一、プラズマテレビ市場、依然として海外ブランドが主導

 プラズマテレビ産業界でのパネルの供給と価格の制限により、市場は常に海外ブランドが独占している状態である。2007年第2四半期、海外ブランドのシェアが依然として半分以上を占め、日立と松下は2社で60%を上回った。

 国産ブランドの中では、長虹はプラズマテレビへの投資に力を入れており、国内初のPDP産業資源の統合者として、世紀双虹、MP公司と共同出資で四川虹欧ディスプレイデバイス有限公司を設立。4月28日には、中国初のプラズマディスプレイ生産ラインの稼動が始まり、高い販売実績を上げてきており、国産ブランドの中で、首位を守っている。第2位は海信で、そのシェアは7.6%。

 賽迪顧問は、プラズマは大いに発展要素を秘めていると考えている。主な原因は:①小型液晶テレビパネルの値上げの影響で、国内メーカーの利益が小さくなるため。代わりに相次いで32インチのプラズマテレビを発売し、投資を拡大し、プラズマの生産能力を上げていくことで、プラズマ市場の高速成長が進むのである。②薄型テレビの大型化。プラズマテレビは大スクリーンのものが売れている。40インチ以上の大型薄型テレビの需要が激増し、販売の主流となっている。

 二、液晶テレビ市場における海外ブランドの成長大

 液晶テレビ市場において、4月から、特に5月のゴールデンウィーク期間より、海外ブランドが小売価格を大幅に下げたことにより、市場競争は新たな局面を迎えている。第2四半期、国内ブランドの海信が販売量第一位を守るも、第二位のサムスンとの差はわずか。しかも、サムスンの販売量は5、6月と二ヶ月連続で海信を上回っており、引き続き増加傾向である。

 液晶テレビのシェアTOP5を見ると、第1四半期、海外ブランドはサムスン一社のみで、第4位だった。第2四半期には、サムスンは海信に次いで、第2位に浮上、フィリップは大幅躍進で、第3位を獲得。液晶テレビ市場での海外ブランドのシェアは著しく上昇しており、かつ、今後も増加するだろう。まとめると、第2四半期の液晶テレビ市場競争の局面は、次のような特徴があると言える。

 (1)国産ブランドは「無力」、海外ブランドは高成長。
 国産ブランドの急速な下落に対し、海外ブランド全体シェアは増加。特に32、37、40、42インチの主流サイズは全て増加している。

 海外ブランドのシェア増加は主に値下げによるものが大きい。値下げ幅が国産ブランドより大きいので、シェアを奪っていったのである。さらに、主な寸法である32、37インチパネルの値上げにより、高コスト、利益の大幅減少をもたらし、国産ブランドは大変厳しい情勢。
 
 (2)液晶テレビの利潤が減少、国産企業の成長基盤の弱さを露呈
 薄型テレビのコストの60%-70%がパネルである。パネルメーカーは、台湾にも一部あるものの、主に日本、韓国である。現在、我が国の各メーカーの大多数は台湾の関連会社の製品を輸入しているため、生産コストが高い。かつては優勢だった小売り部門においても、海外ブランド大幅値下げの悪影響を受けた国産ブランドは、劣勢となり、利益も次第に低下している。

 全ての液晶テレビ主要メーカーの財務状況は楽観できない。「厦華2006年度報告書」は、業務収入が81.5億元だが、損失が5.23億元にも上ることを示している。「四川長虹2006年度報告書」によると、営業利益はわずか4000数万元、康佳と海信電器の純利益もそれぞれ1.25億元と1.52億元。この3社のCRT業務の純利益はすべて3億元を上回っているのだが・・。

 (3)海外ブランドの成長を続け、シェアも増加の見込み
海外ブランドの値下げ幅は国産ブランドより大きく、第3四半期でも、その販売量拡大を助ける要因となるだろう。しかし、国産ブランドにおいては、もともと優勢だった32インチLCD等で、パネルの供給不足が、販売量に悪影響となるだろう。

 海外ブランドは、しっかりした生産ラインを持っているので、パネルの供給による影響は非常に小さい。そのため、やはり第3四半期にも、海外ブランド販売量は引き続き増加し、シェアも拡大していくだろう。

 三、生産ラインの保有は、海外ブランドの武器。全シリーズで中国市場を占拠へ

 小売りの価格競争は、国産ブランドの利潤を最低限に抑え、販売量に多大な影響を与えた。逆に海外ブランドの損失は、上位企業が補足してくれる。そのため、価格戦は結果として競争の局面を変えたと言える。

 サムスン、ソニーLG、フィリップ、シャープ、松下等の海外ブランドは薄型テレビの製造元であり、同時にパネルの主要サプライヤーでもある。この市場において、生産ラインを持っているという利点を生かすことで、上位パネルの供給を制御しながら、国産ブランドと価格戦を繰り広げることで、国産ブランドを抑え、全シリーズ製品で中国市場を占拠する戦略を打ち出すことが可能になる。

 TET-LCD液晶パネルの生産ラインは、高い技術と膨大な資金が必要な産業であるが、現在国内ブランドは、生産ライン構築のための力を備えていない。これも国産ブランドの産業全体の統合化事業が行きづまる主な原因となっている。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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