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SOA業界の特徴及び課題 (2008年09月03日)

 SOA(サービス指向アーキテクチャ)の普及に従って、「SOAとは」や「SOAを利用する必要があるか」などはすでに人々の関心事ではなくなっている。SOAの作用と、その価値は人々に十分認知されており、「いつから、またどのように始めるのか」ということが、各メーカーとユーザの間で今、ホットな話題となっている。

 中国企業におけるSOA設置の現状と今後の発展動向を把握するため、賽迪顧問は中国536会社を対象にアンケート調査を実施した。この調査により、SOAをすでに取り入れている中国企業は約25%を占めていることがわかった。例えば、SOA訓練、SOAシステム構築計画及びSOAの独立応用などである。ただし、中国企業でのSOAの基盤が依然として手薄であること、まだSOAの規格化がされていないこと、企業トップの賛同が少ないためSOAの商業価値が直接反映されないことなどが、SOA設置の障害となっている。さらにデータ分析を行うため、賽迪顧問は調査対象企業を、中・大規模と小規模との2種類に分けた。SOA設置済み企業のうち、中小規模企業でもSOA独立応用をしているため、SOAと企業規模とは、直接関係を持たないと思われる。

 今、注目されるSOAの発展に対して、中国と海外情報化先進国(米国等)とでは、発展チャンスと条件が違うと言える。大多数の米国企業は優れたアプリケーションシステムを備えており、SOAの実施にはシステムの既存機能に対するものが、基本となる。高コストをかけて、全く新しいサービスを作る必要はない。対する中国企業の場合は、市場に応じて、企業のIT構築も変動しており、90%以上のソフトウェアシステム構築は、統合化、最適化、改造が主となっている。国外の場合と異なり、中国は生産システムからマーケティングサービスシステムに移行中で、大量のサービスシステム構築が今後、SOA建設の重要ポイントとなる。

 金融、通信等、情報化の最先端企業においては、既に大量の生産システムが整備されている。WTO業務の開放で、競争が日々激しくなり、業務システムの構築作業は既に業務ベースから、お客様ベースに移行しており、さらに新システムの構築が目前に迫っている。政府、製造業等の情報化はハードウエア投資からソフトウェアとサービス投資に移行してはいるが、国外に比べて、ソフトウェアシステムが少なく、まだシステム構築の初期もしくは中期段階と言える。初期のソフトウェア開発においては、基準がはっきりいていない上、業務の度重なる変動のため、既存システムをSOAサービスに細分化することは非常に難しい。しかし、SOA応用への新たな要求が、こまやかで柔軟なサービスの直接提供を可能にするのである。

 SOAが次第に進展しつつある国際社会において、技術や実用化を問わず、中国SOAの設置基盤は依然として非常に薄弱だ。SOA規格の決定権が海外メーカーにあるため、国内メーカーでは現在の競争局面を変えることができない。実用化経験及び人材不足などが、我が国SOA応用における、まだ答えが見つかっていない大きな課題であり、メーカーとユーザーは一つ一つ解決しなければならない。SOAの応用はやらざるを得ないので、いつから始め、どの部門に設置するかは、企業の課題であり、明確な設置計画とカスタマイズロードマップが浪費を抑えるためには不可欠である。SOAは次第に認知され、中国ソフトウェア産業界に新しいチャンスを生み出してはいるものの、メーカーとユーザーにとっての課題もまた多いのである。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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