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3C融合過程の「落とし穴」を回避する (2008年09月03日)

 2007年6月29日、アップル社は新製品iPhoneを発表し、1日半で27万台を売り上げた。このような大量販売は長く続かず、所期目標も達成していないが、iPhoneの米国販売業者のパートナーAT&Tは「これは今までAT&Tで販売してきた製品で最優秀の家電製品である」と評価している。iPhoneの順調な滑り出しにより、その実績に驚くと同時に、次のような疑問も生まれた。アップルのビジネスモデルの発展において、彼らの支えは何なのか、企業成長につきものの落とし穴をどのように避けたのか、変革を続けチャンスをつかみ、最後に勝利したその原動力は何か、といったことである。

 ComputerからConsumer Electronics、更にCommunicationに至るまで、アップル社は3C融合、3C発展経路についての独自の理念を持っている。それは、企業成長経路にて、失敗製品のiMacからと、大成功を収めたiPod両方からの貴重な経験によるもので、業務システムの構築・整備、業界の資源統合化の実現が、成功に欠かせないということである。

 アップルの成長過程を見ると、同社は数多くの「落とし穴」を経験していることがわかる。90年代終わりに、アップル社は主要PCメーカーの地位を失った。ジョブス氏が堅持していたWindowsOSとの互換性のないアップルのOSXがその主な原因である。2006年、全世界でのiMac販売量は約560万台に過ぎなかった。

 2001年10月、第1世代のMP3オーディオ機能を持つiPodを全世界に発表したが、2002年には、iPodの全世界出荷数は38万台と落ち込み、アップルは成長行き詰まりという落とし穴に陥っている。しかし、同社は、自社のビジネスモデルの移行により難局を乗り切っている。

 2003年、iPod製品の年間販売量は280%増を実現、2006年、iPod全世界の出荷数は4600万台を上回る。このような爆発的増加の主な原因として、iTunes音楽配信サイトの登場、ネット上のコンテンツ・サービスとの融合、iPodユーザー向けに99セント/1件のダウンロードできるサービスなどが挙げられる。このような従来とは全く異なる販売手法により、iPodが予想以上の売上高を達成したほか、同社は米国市場において、ウォルマート、ベストバイに次いで第三位の音楽販売業者となった。2007年6月30日現在、iPodは全世界で1億1千万台近く出荷されている。

 引き続き、同社は06年に重要な決定をする。マッキントッシュでWindowsシステムが使用できるようにしたのである。それにより現在のVistaOSの対応も可能になり、以後の2007年第1および第2四半期には、iMac出荷数は同期比30%以上増となった。互換性を持つプラットフォームシステムのおかげで、iMac「fans」に加入するユーザーはますます多くなり、日々充実するオンラインコンテンツのおかげで、iPodは次第にAVモバイルの中心へと成長を遂げ、iPodアクセサリー(カバー、イヤホン、スピーカー等)により、1ドルや5ドルといった金額もプラスすることができている。このような持続的な投資がユーザーの依存度を高め、更に強大なコンテンツ-設備-周辺装置システムの構築につながる。

 iPodからiPhoneまで、アップル社は変化の中で消費者のニーズに柔軟に対応している。同社が提案している3C発展ルートから、次のようなことがわかる。3C融合、産業融合を背景にさらに深化した変化とは、ユーザーの需要の融合である。それは、モバイルビデオ、モバイルインターネットサービスとモバイル音声通話といったムービー需要であり、このような「大融合」はモバイルサービスの有効性と信頼度によるものなのだ。

 どのようにユーザー需要の融合に対応するのか、また3C融合に対応するのかについては、アップル社は1つの答えを示している。但し、これはアップルにのみ適用されるものである。iPhoneにおいて統合化されているPush mail、Google map等主力となるネットサービスのほか、どのようなインターネット機能を加えるのか、従来のサービスの満足度をどのように上げていくのかなどといった点が、同社の次の課題となると同時に、次の落とし穴にもなりうる。今までの経緯があるので、我々はアップル社の次の対応策に期待を持っている。

 当然企業によって、導き出す答えもまた異なる。今後のICT企業の発展には、必ず激しい競争と刺激があり、またそれぞれ違った3C融合があるだろう。音声通話、完全なインターネットアプリケーションとムービーアプリケーションといった分野はいずれもこのような基本的なニーズをもとに、それぞれに拡張しているのだ。

 あらゆる企業は、自社の得意分野、製品サービス、資源などを生かして、それぞれを差別化し開拓していくべきである。また、業界での資源の統合化を自社優位に進め、機を伺いその他のサービス分野に参入していくべきだ。その時にユーザーのニーズを無視しているメーカーは、結局ユーザーに無視されることを忘れてはならない。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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