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UMPCはどこへ向かうのか (2008年09月03日)

 UMPC(Ultra-MobilePC、スーパーモバイルコンピュータ)は、パソコンと携帯電話の間の製品にあたるものとして、そのコンセプトは既に数年前から出されており、製品化し市場に出てから1年も経過しているのだが、市場の反応はあまり楽観できない状況である。現在、UMPCのユーザー層は比較的単一で、個人消費の中では、主にモバイル使用頻度の高いビジネスマンと新製品マニア、専門消費の中では、携帯型機器使用の必要に迫られている業種、例えば交通(交通警察/民間航空)、公安、物流、高級飲食サービス業等である。また、全てのアプリケーションがまだ試験段階であり、購入量は多くない。

 現時点で、UMPC発展への課題は次の通りである。

 1、価格。携帯電話の庶民的な価格と比較すると、UMPCは最低でも約7千元、高いものは2万元に達する。やはり価格が高すぎる。特にノートパソコンの価格も下がり続けている今、UMPCは価格面で優位には立てない。

 2、電池使用時間。これはUMPCの致命傷の1つだろう。モバイル性/多機能性という面においては電池が重要であるが、現在のUMPCは3-5時間しか使用できず、長時間使用/マルチスレッド処理ばかりか、娯楽等のオプション機能においても対応できないことは言うまでもない。その他、高性能ゆえの大量の放熱という問題も解決しなければならない。

 3、販売ルート。パソコン、携帯電話などと異なるデジタル製品:UMPCがどのような販売ルートを選択していくのかは、製品普及に大きな影響を及ぼす項目である。

 4、製品の成熟度と認知度。現在、UMPC製品はまだ模索段階にあり、ディスプレイ表示、大きさ、機能など改良すべき箇所が多く存在している。その上、主要PCメーカー(ヒューレット・パッカード、デル、聯想など)は関連製品を発表していないため、本当の意味でこの製品を知っているユーザーは多くはないのである。

 5、機能面。現在の市販品は、一般パソコン機能に留まり、国外で既に使われているGPS、デジタル・テレビ受信などのアプリケーションは導入されていない。操作方法も決して便利とは言えず、キーボード接続を必要とする機種も多く、入力方式の改善が待たれる。

 現在、トップメーカーのマイクロソフト、インテル、威盛、AMDなどはUMPC製品への関心度を高めつつあり、OEMメーカーも同様製品のシリーズを揃えてきている。ニーズ面においても、価格をある程度下げることができれば、個人市場で爆発的に伸びるだろう。また、いくつかの業界(政府、医療、エネルギー等)においても、モバイル端末導入の激増が予想されるため、市場の見通しは明るい。もちろん課題も多く、日々の価格下落、軽くて精巧なノートパソコンとの競争の他に、UMPCはBlackberry等のスマートフォンにも挑まなければならない。上記の問題を解決できるならば、UMPCはパソコンと携帯電話間で独自の地位を確立することが可能となり、あるいは3者を一体化することも不可能とは言えないのである。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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