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インターネットのNEXT WAVE ー eコマース産業 (2008年09月03日)

 中国インターネットのこれまでたどってきた道には、数々の紆余曲折があったものの、それらはレベルアップするのに必要なものであったと、我々は考えている。新浪をはじめとするウェブサイトが、インターネット発展の第1波を巻き起こし、次第に中国人の生活様式や広告マスコミ業の構造を変えていった。その後、オンラインゲームが第2波となり、サーチエンジン、C2C、電子支払い等が共同でブームをあおった。そして、多くの人がしまいこんだ「一攫千金の夢」を再燃させただけではなく、業界に巨大な富をもたらしたのである。2005-6年度には、web2.0に目をつけたベンチャー投資家達が投資ブームを巻き起こした。投資は、web2.0の本質とは異なるものかもしれないが・・・。

 各々のインターネットブームに伴い、我々は、マスコミ、ネットワーク・・どのような手段をもってしてもインターネットを定義することは難しい時代に生きていることを実感する。今やインターネットはもはや想像上のものではなく、実際に我々の生活、仕事、ひいては企業経営にまで浸透してきているのだ。日に日に巨大化するインターネットを目の当たりにして我々は、次はどのような変化がもたらされるのかと想像しないではいられない。

 今までは、インターネットとその他マスコミではどちらがリードしていくのか、あるいは個人業務上のことが世論の焦点であり、世論の背後にひっそりと存在していた巨大な、しかもインターネットの中心的存在である法人ユーザーを見落としていたのだ。現在のインターネットサービス企業の収入に中では、企業広告、マーケティング費用が主要となっている。さらに、インターネット産業そのものを見ると、eコマースが、その他業務をはるかに超える億単位の取引額となっている。そして、そのeコマースの中核部分は、まさに企業が中心となるB2B(企業間取引)業務なのである。

 以前のアリババ主導のB2Bプラットフォームは、規模が大きいが勢いに欠けるにも関わらず、多くの中小企業を引き付けた。しかし、今ではB2Bは高度成長期に入り、企業規模を問わず加入が殺到しており、もともとの簡易サービスではそれぞれの企業独自の注文に対応できなくなってきている。つまり、eコマース(企業間取引)の専門化と、サービスシステムの整備が今、求められている。そして、企業間のeコマースの大きな発展が近い将来インターネットとeコマース発展の中心となるだろう。

 現在eコマース産業は、政府やサービス業、電気通信キャリアなどから広く注目を集めており、その発展モデルは、以下6種類にまとめられる。
 1.アリババをはじめとする総合電子商取引(eコマース)プラットフォームの産業化モデル。市場競争の圧力により、アリババがもともと持っていた巨大な総合eコマースのプラットフォームに基づき、業界の専門分野の開拓を開始。このプラットフォームの強みは、膨大なeコマース情報と、法人ユーザーが大量の需給情報を把握できることである。しかし、業界への理解がまだ浅く、資源の統合がなされていないため、情報の精度面に問題が残ることとなり、eコマースの実現を遅らせる要因をも持っている。
 2.網盛科技をはじめとするeコマース産業の専門化モデル。このモデルは、ある特定のeコマース業務に絞って、産業資源を統合し需給情報の精度を上げることで、取引効率を上げることができる。しかし、このような分割式の垂直統合では、需給の幅を広げていけず、プラットフォームをフル活用して資源を広げたり、E化したりすることができないため、企業の長期的満足へはつながりにくい。
 3.伝統産業のトップ企業によるeコマースモデル。業界の主導的立場であるトップ企業は、自身のサプライチェーン・マネジメントと情報網を駆使してeコマースプラットフォームを設立。系列各社は、このプラットフォームを通じて、企業間のコミュニケーションと取引が可能となる。このモデルは、現在業界最高の取引額を誇り、企業運営の効率を高めているが、あまりにも閉鎖的で、取引に不透明な部分も多く、資源の統合能力にも差があるため、将来市場への適応が見込めない。
 4.資源型企業の設立モデル。資源型企業の利点を生かして、その業界の様々な資源を掌握することができる。つまりeコマースプラットフォームを設立することで、企業間取引の実現や、取引プロセスを完成させることができるのである。例えば、ある省の資源を独占している大手物流企業の場合、建築材料の原料業者へだけではなく、加工メーカーや販売業者へもサービスを提供している。それにより、豊富な顧客資源のeコマースプラットフォームを作り、地元の建材業へ向けたサービスを行い、企業のE化に一役買っている。
 5.地方政府主導のeコマース産業モデル。いくつかの産業が比較的強く結びついた地域に適用され、地方政府主導でeコマースプラットフォームを作るので、企業の運営能率を高めることができるだけではなく、地域間の競争にも有利となり、地域全体の企業競争力、経済力を高めることができる。
 6.電気通信キャリアが設立したeコマースモデル。電気通信キャリア(電気通信事業者)は、基本となるネットワークと通信サービスが強みであるため、総合プロバイダへのモデルチェンジ過程において、それを十分発揮し、付加価値サービス市場で法人ユーザーを獲得している。また、法人向けにネットワーク、設備、総合ソフト、解決方法、信頼をセットにしたeコマースサービスが、一般的な電気通信キャリアの策略である。

 これら6種が、多くのeコマース産業発展の探求モデルとなっている。eコマース産業の成長過程において、政府、プロバイダ、キャリア、そして法人ユーザー間の積極的な協力関係が、インターネットレベルでのeコマース、企業のコア業務におけるeコマースを可能にし、そして社会全体の経済的土台をも、作り上げていくのである。

 したがって、産業としてのeコマースは、インターネット業界最大のNext Waveと言えるのであろう。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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