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フラットテレビの「ブルー・オーシャン」 (2008年09月03日)

 フラットテレビの価格低下につれ、フラットテレビ業界・応用市場も大きく伸びている。CCID(賽迪顧問)のフラットテレビ業界・応用市場に関する調査によると、2003年~2007年の中国フラットテレビ業界の年間複合成長率は55.3%に達する見込みだ。
 
 CCID(賽迪顧問)は、フラットテレビ業界・応用市場の特徴に基づいて、業界市場を政府部門、展示会業界(展覧館、博物館、サイエンス館などを含む)、レストラン・アミューズメント業(レストラン、KTV、サウナ・健康ランド、ホテルなどを含む)、金融業(銀行、証券、保険などを含む)、教育業、交通(公共交通、地下鉄、鉄道、航空)、衛生、流通(スーパー、デパートなど)、エネルギー(電力、石油、石炭)、メディア(オフィスビル、ラジオ・テレビなど)、その他業界(主に物流、電信、郵政、スポーツ施設、建築業などを含む)に分類した。
 
 フラットテレビの小売り競争が白熱化し、利潤も薄くなっている状況に比べて、業界応用市場の競争は比較的穏やかで、かつユーザーの購買量も大きく、利潤率も比較的高い。


  【1、中国フラットテレビ業界・応用市場は急速に発展】
 CCID(賽迪顧問)の統計によると、2006年の中国フラットテレビ業界・応用市場の販売量は29.25万台(前年同期比42.5%増)、販売額は26.82億元(同14.3%増)だった。フラットテレビの益々の価格低下、中国ビジネス界の好調な発展、また、2008年北京五輪開催の影響もあり、2007年中国業界応用市場の規模は引き続き急速に拡大している。CCID(賽迪顧問)では、2007年中国フラットテレビ業界・応用市場の販売量は43.93万台、販売額は39.63億元に達すると見ている。


  【2、中国フラットテレビ業界・応用市場の構成】
 (1)製品別シェア
  (イ)技術別シェア
 業界応用市場では、液晶テレビの投入規模がプラズマテレビを超えそうな勢いで、2007年上半期の液晶テレビのシェアは70%を超えた。これは主に液晶全体市場が急激に伸びていること、液晶テレビの価格が安いこと、性能価格が高いことが影響していることによる。
  
  (ロ)インチ別シェア
 現在、業界応用市場では、液晶テレビのインチは22~27インチ及び32~40インチの段階に集中しており、この2つの大きさの製品が64%以上を占め、主に交通、商業広告、ホテルなどの業界で使用されている。プラズマテレビは40~46インチのものが80%以上を占めており、CCID(賽迪顧問)では、プラズマ価格が下がるにつれて、50インチなどのプラズマテレビが応用市場に占めるシェアが上がると見ている。


 (2)価格帯別シェア
 価格低下により、4000~8000元の価格帯の液晶テレビが業界応用市場の主流価格帯となった。プラズマテレビは、液晶テレビの価格低下の影響を受けて、15,000元以下の製品が圧倒的主流を占める。競争激化に伴い、業界応用市場のフラットテレビの価格はまだ下がり続けるだろう。

 (3)地域別シェア
 2007年上半期の中国フラットテレビ業界・応用市場で、最も販売量が多い地域は華北地区。華東地区もかなり好調で、華北地区との販売量の差を徐々に縮めている。2007年上半期の華東、華北両地区の販売量はいずれも5万台以上に達している。2006年同時期と比べてみると、2007年上半期の華北、華東、華南の3地域の販売量シェアはいずれも下がっており、その他4地域の販売量シェアがわずかにアップしている。華北、華東地区の販売量が多いこと、及びこの2地区の経済レベルやビジネス発展度が高いことと密接な関係があり、なかでも華北地区の北京、天津の貢献度が大きい。華東地区では上海と江浙が同地区を牽引している。


 (4)業界用途の比較
 業界別シェアでは、レストラン・アミューズメント業界に対する販売量が最も多く、その他業界を抑えてトップとなり、2007年上半期のフラットテレビ業界・応用市場の販売額の25%以上を占めている。小売業やメディアも比較的大きなシェアを占める。その他の業界の応用市場シェアはわずかである。

 液晶テレビはその優れた性能価格比により、業界応用市場では主に中小インチが主力で、レストラン・アミューズメント、ホテル、教育、交通業界で応用されている。プラズマテレビの主な応用市場は、高画質を求めるKTVなどアミューズメント施設やハイビジョンが求められるスポーツ施設などの業界である。ユーザーの業界が異なれば、フラットテレビに対する重視点も異なり、選ぶフラットテレビの機種や価格も異なる。


 (5)ブランド別シェア
 現在、フラットテレビ業界・応用市場では、中小インチの国産ブランドが優勢であるが、大画面フラットテレビ分野は外資ブランドが圧倒的に優位で、大画面プラズマテレビではパナソニック、LG、サムソンが販売量のトップ3を占める。LGとサムソンはビジネス市場への参入が早く、かつ販売力が強く、価格も競争力があり、ビジネス市場での成績はその他小売市場をはるかに凌ぐ。大画面液晶テレビ分野では、フィリップスのビジネス分野への参入が早く、ホテル業界で優勢であることが販売量トップの座を確固たるものにしている。次いでサムソン、海信、ハイアールと続く。市場全体を見ると、パナソニック、LG、ハイアールが2007年上半期の販売量トップ3を占める。3社の販売量シェアはそれぞれ10.5%、10.1%、9.7%である。

 (6)販売ルート別シェア
 フラットテレビの対業界販売ルートと対小売市場販売ルートは異なり、対業界販売ルートには主に独自の販売会社、代理店、テレビ売り場の3種類がある。2007年上半期、独自の販売ルート、代理店の2つの販売ルートを持つフラットテレビがそれぞれ4割以上を占め、2テレビ売り場で販売されているのは20%に過ぎなかった。


  【3、フラットテレビ業界・応用市場の潜在力は巨大】
 業界の急速な発展がフラットテレビの投入を後押ししている。2007年、フラットテレビ業界・応用市場の重点業界はいずれも好調で、第三次産業での消費が大きく伸びた。特に、レストラン・アミューズメント業界での伸びが目覚ましかった。金融業界は安定した伸びで、株式市場に勢いがあり、証券ビジネス分野での収入が伸びた。教育業界は安定した伸び。公共交通は引き続き発展しており、地上デジタル通信システムが投入された。エネルギー業界も勢いよく伸びている。郵政改革が大胆に実施された。スポーツイベントによりスポーツ関連施設の整備が日々進んだ。ビジネス全体状況が活況を呈しており、以上のような様々な要素により、フラットテレビの業界投入規模が拡大している。
 
 また、CCID(賽迪顧問)は、初めて刊行した「中国フラットテレビ業界ユーザーB2B満足度調査」というブルーブックの中で、2008年五輪が北京で開催されることは、ビジネス発展にとってまたとないチャンスであり、消費者のスポーツイベントに対する注目が高まり、フラットテレビはその優れた技術性能でホテル、レストラン・アミューズメント施設、交通分野などの業界ユーザーがテレビ購入量で初めてトップに立ったことを指摘し、フラットテレビ業界・応用市場は五輪というチャンスを借りて、より大きな発展をするであろうと述べている。

 CCID(賽迪顧問)では、フラットテレビ生産メーカーにとっては、小売市場は競争が厳しく、利益が薄いが、業界応用市場はフラットテレビの「ブルー・オーシャン」であると捉えている。

※「ブルー・オーシャン戦略」は、フランスの欧州経営大学院(INSEAD)教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュが2005年2月に発表した著書『ブルー・オーシャン戦略』で提唱した戦略のこと。既存の市場を〈レッド・オーシャン(赤い海)〉、未開拓の市場を〈ブルー・オーシャン(青い海)〉と名づけ、新しい価値市場を創造していく戦略を体系化した。

  • 発行者:賽迪顧問股份有限公司(CCID)コンシューマ・エレクトロニクス産業研究センター コンサルタント 田暁娜

  • データ:同上、2007年09月

  • 邦訳者:日中ビジネス推進フォーラム(WJCF) 金絲猴

  • 著作権:全てCCID日本事務所に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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