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あなたのランチは500円?それとも50円? (2007年10月31日)

 定職を持たず短期のアルバイトで食いつなぐ「フリーター」。働かず、働くための教育や職業訓練も受けていない「ニート」。フルタイムで働いても生活保護の支給額にも満たない収入しか得られない「ワーキングプア」。定住する住居をもたず、インターネットカフェで寝泊りする「ネットカフェ難民」。

 いま日本では、格差社会の到来により、こうした経済的弱者が大量に生まれているそうです。先の参議院選挙で日本国民は、日本を格差社会にした政府与党に「ノー」を突きつけました。日本政府は今後、セーフティーネットの更なる拡充により、経済的弱者を助けていく、という政策を進めていくことが予想されています。

 しかし、本当にそれでいいのでしょうか。

 いま日本で起きているのは、今までは50円分の仕事しかしていない人に、500円のランチを食べさせていた日本企業が、「中国の人たちが50円のランチで同じ仕事をしてくれるって言うから、明日からこの仕事は中国人に頼むことにするよ」と言い始めた、という事態です。

 これに対し、今までその仕事していた日本人が「私も明日から50円のランチで我慢しますから、この仕事、引き続きやらせてください」と言っているのです。

 日本政府がここでやらなければならないのは、そうした人たちに、お金持ちからむしり取った税金を毎日450円渡して、「これで今まで通り500円のランチを食べなさい」とやることではなくて、450円を使ってそうした経済的弱者の人たちが毎日500円分の仕事ができるように高度な職業訓練をすると同時に、職業訓練を受けた人が活躍できる付加価値の高い産業を積極的に育てていくことではないでしょうか。

 日本に格差社会を生み出す原因を作った中国は、既に「世界の工場」という下請けの立場から脱却するべく、企業所得税の優遇などで高付加価値のハイテク産業の育成に力を入れています。

 今後、中国の人たちは、50円のランチを食べながら、更に付加価値の高いモノやサービスを生み出すようになるのです。

 そんな状況の中で、私たち日本人が500円のランチを食べ続けるには、中国人の10倍の付加価値を生む仕事をするか、中国人には絶対にマネのできない仕事をするしかないのです。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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