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多忙で党大会に関心を寄せる時間がない…… (2007年11月03日)

 中国人はあまりの多忙で党大会に関心を寄せる時間がない。

 AP通信のウィリアム・フォアマン記者は、18日に中国南方の大都会広州から発信したリポート「Hu? Many Chinese ignore party congress」の中でそのような市民の姿を描いている。

 中国共産党指導者のコンクラーベが始まっているが、フリーランサーの温さんが熱中しているのはそれよりも外資系の新しい仕事口を探すことと、アメリカのテレビドラマ《デスパレートな妻たち》をDVDで鑑賞しながら英語の実力を磨くことである。彼女は広州の国際トレードセンターの外で「Business Experience! Expert Bargainer(ビジネス経験あり、交渉の専門家)」と書かれた紙を見せながら海外から来たバイヤーにアプローチしようとしているが、記者の政治的な質問には全く興味を示さなかった。

 党大会開会直前の北京で取材していたボイス・オブ・アメリカ (VOA)の張楠記者も同様の場面に遭遇していた。張記者が北京大学の「三角地」で3年生の女子学生らに「十七大」(中国共産党第十七回全国大会の略称)に対する感想を聞いてみると、とんちんかんな受け答えしか返ってこなかった。「党代会」と「全人代」の区別も良く出来ない彼女に記者は時代の流れを感じた。昔は学生の政治情報の発信地であった「三角地」にいる学生は政治や時事に一番敏感だったからである。

 今年6月の北京訪問時に、北京大学の校弁企業の経営者と共に「三角地」周辺を歩いた。20年ぶりの「三角地」は茂る木々の下に長い掲示板が立っているところは昔とそう変わらないが、掲示板の内容はクラブのお知らせ、講演案内、パソコンやプリンターのポスター、下宿の紹介など学生向けの情報で溢れていた。経済の息吹を感じられても政治的なものは一切ない。



 この20年間、北京大学では数十社の校弁企業が設立され、その中から上場企業が十数社も生まれた。これらの企業では経営者から中堅社員までほとんどが北京大学の教師や卒業生で占められている。私達に「三角地」周辺を案内してくれた人も同学の国際関係学院の修士課程を卒業した才媛である。中国のエリート達の視線は政治からすっかり経済に向きを変えてしまったのだ。今まで市民や学生は相次いで発生する政治運動や政治学習への参加を強いられてきたが、今は政治に関心を持つか持たないかは個人の自由になった。

 「我々は普通な市民だ。党のイベントは我々とあまり関係がない」。広州駅で上海行きの電車を待つ出稼ぎ労働者の馮さんは、AP通信のフォアマン記者のインタビューに淡々とこう答えた。

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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