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OLED-新型ディスプレイ技術 (2008年09月03日)

 今日、世界のOLED産業は特に韓国、日本、台湾に集中しているが、コダックやCDTを始めとする欧米企業がその生産技術の中枢を担っている。日本企業も高い生産技術を持っているのだが、コストが高すぎるため、韓国ほど伸びてはいない。

 韓国のOLED産業は、サムソンとLG電子の2大企業が中心である。各部門カバーはしているが、生産設備部門で日本企業とはまだ差があり、発光材料の技術開発が待たれる。ここ数年、韓国企業の市場での動きが活発になっており、2007年サムソンSDIとLG電子は、アクティブ駆動方式OLED商品の発売を開始した。

 台湾でもOLED産業は急速に発展しており、参入企業、商品出荷量共に伸びている。台湾OLED産業の強みはディスプレイ製造で、弱い部分は設備と発光材料の研究である。

 欧米のOLED産業は、技術開発に力を入れており、コダックは小分子材料の要となる技術を、そしてCDT社は大分子OLED技術の特許を持っている。2006年ドイツは、産業振興計画の中でOLEDの発展を「非常に重要」と位置づけたため、ヨーロッパの中でもドイツOLEDの発展はめざましい。

 LCD、PDP、SED、電子ペーパーやOLEDなど新しいディスプレイ技術の中で、OLEDパネルの寿命は携帯電話サブディスプレイやMP3などの中では問題もなく、価格も適正である。もし、OLEDの価格がLCDと同じくらい下がれば、小型ディスプレイ市場で価格の安定を実現できるだろう。また、出荷量を増やしコスト削減が実現できれば、LCD以上の低価格化が可能となり、小型ディスプレイ市場において主流となりうるだろう。

 現時点でのOLED応用状況を見ると、携帯電話やMP3などではまだパッシブ駆動方式が主流で、2007年サムソンやLG電子によるアクティブ駆動方式の量産に従い、大画面商品にも使われるようになった。アクティブ駆動方式OLEDの携帯電話ディスプレイの値段は、LCDよりまだ60%高であるが、アクティブ駆動技術の拡大に伴い、今後コストも下がるであろう。2010年頃にはLCDと同レベルになる見込みで、そうなるとコスト競争力も強化されてくるだろう。

 OLEDの技術面では、LCD、PDP等に比べると要求レベルも低い。開発費も少なく、製造技術・設備も簡易なものである。ただ、現在はメーカー間の差もあまりなく全世界の技術が未成熟と言える発展初期段階のため、技術的にもまだ伸びる余地があり、国内企業にも勝てる見込みがあるといえる。国内企業のTFT開発がその鍵を握っているのである。

 全世界のOLED産業も動き出したばかりである。世界最高でも5.5世代ラインであり、OLEDは2.5世代が主流である。LCDにおいては、2006年にシャープが十代パネル生産ラインを作って以降、サムソン電子も同生産ラインの設立を発表した。LCD市場の代表格のサムソンとLPLは、どんなに小画面になったとしても国内企業をリードし、また高世代には巨大な投資が必要だろう。それが中国(大陸)と韓国が、日本や台湾に比べてOLED産業がまだ遅れをとっているゆえんである。

発行者:賽迪顧問股份有限公司(CCID)半導体産業研究センター コンサルタント 王莹
  • データ:同上、2007年10月
  • 邦訳者:日中ビジネス推進フォーラム(WJCF) 越本早苗
  • 著作権:全てCCID日本事務所に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

  • コラムニスト CCID Ccid
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    最終更新日 2012-11-14

     

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