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中国電信ネットワーク、今後は3つの刷新を目指す (2008年09月03日)

 中国電信(チャイナ・テレコム)の刷新には、業務面とネットワーク面の相互融合や相互促進が不可欠である。業務面の刷新は次世代ネットワークの支えが不可欠であり、ネットワークの刷新は業務刷新の基礎である。現在、従来のPSTN(公衆交換電話網/Public Switched Telephone Network)では、業務刷新のニーズに応えることができない。それは、PSTNネットワークシステムが閉鎖的であるため、新規業務を提供することが非常に難しく、コストも高く、周期も長いからだ。PSTNではブロードバンドやマルチメディア、デジタル回線通話などの融合サービスを提供することもできない。既存の運営会社は今のところ、複数のネットワークを抱え、業務ごとに異なるネットワークやプラットフォームを使用しており、業務開発や運営コストが高くついている。そのため、業務の刷新にはネットワークの刷新が必要だと言われている。

 現在、中国電信は業務主導で運営されており、技術をアクセルとして、ネットワーク刷新という戦略目標実現に向けて積極的に取り組んでいる。また、機能の融合、構造の平易化、コントロールの集中化、オープンかつ臨機応変な業務が可能な次世代ネットワークシステムの刷新を目指して取り組みに力を入れている。ネットワークや業務の迅速な実行、ブロードバンドとナローバンドの融合業務を高効率化することで、業務コストやネットワーク運営コストを抑え、かつ、差別化されたネットワークの品質保証やメンテナンスサービスをユーザー向けに提供できる。

 こうした基礎の上に、中国電信は今後、以下3点のネットワーク刷新を目指す。

 第一【PSTNネットワークで、ネットワークのインテリジェンス化を推進】
 ネットワークのインテリジェンス化にかかるコストは比較的安いため、新規業務を素早く実施できる。そこで、ここ2年は中国電信ネットワークのインテリジェンス化が集中して行われた建設時期であった。中国電信はすでに福建、江蘇、上海、広東で固定ネットワークのインテリジェンス化試行地点を確立し、2007年末までに全ネットワークのインテリジェンス化を完了し、普通固定電話、ワイヤレス市内電話ユーザーの電話番号や業務属性の統一管理を実現する。統一したユーザー管理層が形成され、ユーザーの識別、認証、業務オーダー、超ネットワーク融合業務を実現するための基礎が築かれる。

 第二【NGNネットワークを早期に実現し、オープンな統一プラットフォームを確立する】
 2005年、中国電信・全国長距離タンデム局NGN(次世代ネットワーク/Next Generation Network)プロジェクトが始動し、国内の運営企業はNGNの実施をスピードアップした。2006年、中国電信「両北」地区は電気回路交換機の新規建設を中止し、既存の電気回路交換機の拡張を制限した。南方の21省は長距離電話や現地タンデム分野の電気回路交換機の新規建設を停止し、既存の長距離電話の容量拡張を停止した。2007年、全ネットワークでNGNネットワークの枠組みをまず完成し、電気回路交換機の新規建設を全面停止した。3年以内に、グループ企業、省二級企業によるオープンな共同プラットフォームの枠組みを構築し、通話やマルチメディアなど各種付加価値業務が、臨機応変に共同プラットフォームで行われるようにし、各メーカーのプラットフォーム間での互換性と開放度を高め、新規業務の開発から実行までを迅速に進める。現在、中国電信はNGNの長距離分野への導入を承認しており、2005年~2008年にかけて長距離分野でもNGN改造が実施される(2005年を除き、省基幹長距離分野にある程度のTDMを残す)。

 タンデム局分野では、中国電信は現在、深セン市でNGNタンデム局に対する改造実験を行っている。中国電信の発展戦略が確定するに伴い、タンデム局も比較的早期にNGNを導入するであろう。

 ネットワーク接続分野では、中国電信はNGNの末端局への導入が不十分で、リスクも大きいと認識しており、末端局の改造を急がずに進めるが、長距離及びタンデム局の改造完了に従い、末端局にも徐々にNGNを導入することが必要としている。また、IPネットワークが不十分であり、こうしたことも末端局へのNGN導入を妨げている一因である。

 第三【IPネットワークをバージョンアップし、ブロードバンド接続に対するサポートを向上させる】
 光ケーブルをオフィスビルや中高級住宅街に導入し、VIPユーザーや重要なビジネスユーザー、重点開発エリアの一般家庭ユーザーがブロードバンド接続する際に質の高い映像を提供できるようにする。長距離大対数(800線対、長さ1キロメートル以上)の主幹ケーブルの建設を停止する。接続技術では、主にADSL2+とVDSL2を採用し、より高度なブロードバンド接続を提供する。ケーブル接続回線への投資がネットワーク接続回線への投資に占める割合は、2004年の75%から2007年には50%前後に下がった。3年内にIPネットワークの初期改造を構造がはっきりし、機能が完備し、コントロールを集中化し、ブロードバンドやナローバンド業務のニーズに応えることができ、差別化サービスを備えた多機能ネットワークにし、ユーザー接続や各種業務管理を保証する。土木建築やケーブル工事を厳しく規制し、ビル建設の審査・許可を厳重に行い、アクセスポイント拡大工事に力を入れ、ネットワークセンターの利用率を向上させる。既存のケーブルを十分活用し、一部容量拡大が必要な地域に対しては、「銅線に代わって光ケーブルを導入する」方式で優先的に容量不足を解決する。土木建設やケーブル工事に対する投資額を年々下げ、2007年までに毎年の投資額を約10%削減する。

 この他、電送ネットワークの容量やインテリジェンス化のレベル、業務伝送効率を向上させ、IPなどの業務を迅速に発展させる。技術レベルの向上に合わせて長距離分野で大容量ASON(自動交換光ネットワーク/Automatic Switched Optical Network)の基幹ネットワークを統一建設し、業務ニーズに応じて一部の地方大規模ネットワークでASONを建設し、電送接続分野においては、VIPユーザー接続、企業インターネット、NGNなどハイレベル業務でMSTP(マルチスパニングツリープロトコル/Multiple Spanning Tree Protocol)やRPR(アールピーアール/Resilient Packet Ring)の技術を採用し、サービスの質や積載効率を保証する。

  • 発行者:賽迪顧問股份有限公司(CCID)コンシューマ・エレクトロニクス産業研究センター 副総経理 楊凱

  • データ:同上、2007年09月

  • 邦訳者:日中ビジネス推進フォーラム(WJCF) 金絲猴

  • 著作権:全てCCID日本事務所に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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