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中国株の小バブル崩壊 (2008年01月05日)

 つい2ヶ月ほど前までは、中国人の友人と話をすると、不動産や投資信託の話ばっかりだったのですが、最近は私の友人で株や投資信託の話をする人は全くいなくなってしまいました。

 原因は大幅に下落した中国株の株価です。昨年8月中旬に5000ポイントだった上海総合指数は10月中旬には6500ポイント近くまで上昇しましたが、その後下落に転じ、現在では再び5000ポイント前後まで戻ってしまいました。

 このため、株価が上昇し、「早く買わなきゃ損だ!」という熱狂的な雰囲気の中で、全財産を投じて株や投資信託を買った人たちのほとんどは、今や大きな含み損を抱えており、株や投資信託の話をするのもイヤだ、という状態なのではないかと思います。

 今年から「ハンセンAHプレミアム指数」というのができました。これは、中国本土(A株)と香港(H株)の両方の株式市場に上場している銘柄の株価の差を指数化したものですが、私はこれを密かに「中国株バブル指数」と呼んでいます。

 H株の株価は企業業績をきちんと分析して投資する成熟した外国人投資家によって形成されますが、A株の株価は企業業績とは関係なく、目先株価が上がりそうな銘柄にやたらめったら投資する未成熟な中国人投資家によって形成されます。

 その「実際の企業業績が伴わない、値上がり期待のプレミアム部分」がいわゆる「バブル」であり、これは中国人投資家が成熟するに従って、A株の株価がH株の株価まで落ちていくことによって解消されていくのではないかと私は思います。

 ですから、中国人投資家がA/H価格差の大きな銘柄を避けてA株を買うのは正しいですが、外国人投資家がA/H価格差の大きな銘柄を狙ってH株を買うのは間違いなのではないか、と思います。

 ともあれ、今回の中国株の小バブル崩壊で、株式投資初心者の中国の一般庶民が「株って上がるだけじゃなくて下がることもあるんだ」ということを身を以って学んだことは、中国人投資家の成熟、延いては、壊滅的なバブル崩壊の回避という観点から見て、たいへん良かったのではないかと思います。

 更に「株式投資にうつつを抜かし株価が気になって仕事に身が入らない、という人が大幅に減った」という点も考慮に入れれば、今回の中国株の小バブル崩壊は、長期的には中国経済に対し、大きくプラスに働くのではないか、と思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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