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世界の旅行者が中国で使える最速の交通機関… (2008年01月11日)

 世界の旅行者が中国で使える最速の交通機関は上海トランスラピッドである。浦東国際空港駅と浦東新区にある龍陽路駅間の30キロを7分20秒で結ぶ、営業最高速度431km/hのリニアモーターカーだ。

 普通席50元、VIPは100元。荷物が少ない、もしくは出迎えの旅行社に頼んだ場合、トランスラピッドで龍陽路駅に行き、そこで地下鉄2号線に乗り換えれば大抵車よりも早くホテルに着ける。上海の地下鉄も発達してきており、ラッシュアワーでもなければ乗り心地も悪くない。


 このトランスラピッド、磁気浮上式鉄道は現在その延長工事が計画されている。まず龍陽路駅まで来ている路線を更に32キロ伸ばし、現在は主に国内線空港として使用されている虹橋空港と繋ぐ。その後龍陽路駅から観光都市杭州までの170キロを完成させる。完成後の杭州から上海間の所要時間は26分に短縮されるということである。

 総工事費は350億元と見積もられている。専門家は予算の倍以上かかるのではないかとメディアを通じて警告していたが、2006年に中央政府が正式にプロジェクトの着工を許可した。

 ところがその後、沿線の住民が工事反対運動に立ち上がった。リニアモーターカーが発生する騒音と電磁輻射が住民に深刻な環境問題をもたらす恐れがあるからである。住民は地元の大学教授や環境専門家を味方に巻き込み、更にはリニアモーターカーの環境問題に詳しいドイツの法律専門家とも連携しながら政府を厳しく追及している。

 工事は上海万博開催に合わせたプロジェクトであり、2010年に運行を始めることになっていたが、住民と当局との意見対立が日に日に激しくなっている現在、その行方が注目されている。上海市政府報道官の焦揚女史は昨年末、記者の質問に対し「現在は未だ前期論証中」と返事を濁した。

 これまでの立ち退き拒否事件はほとんど当局の強制退去によって市民側が負け越してきたが、最近は市民が最終的に勝訴するニュースも聞こえるようになった。これも胡錦涛政権の「和諧社会」執政方針の現れかも知れない。

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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