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1月13日、インド共和国のマンモーハン… (2008年01月30日)

 1月13日、インド共和国のマンモーハン・スィン首相が就任後初の中国公式訪問のために政府専用機で北京に到着した。当日、ちょうど筆者も出張で北京入りした。天安門前の長安街を通った時、翻っていた中イン両国の国旗をカメラに納めることができた。国旗の下に止まっていた警察のパトカーを見て、今日はいつもより警備が厳しいのではないかとタクシーの運転手に聞くと、重要国の政府首脳が来た時はいつもこの調子だと説明してくれた。


 言われてみればその通りである。共にBRIC’sの一員として世界の成長センターとされている両国は、1962年に勃発した国境紛争が残した対立を超越し、今では互いに相手を最重要国として認識している。2005年に温家宝中国首相がインドを訪問し、戦略的パートナーシップを確認した翌年、胡錦涛も国家主席として10年振りに訪印し、10項目の協力分野が盛り込まれた共同宣言の調印に漕ぎ着けた。一方でインド側は、2007年秋にソニア・ガンディーインド国民会議総裁が訪中して以来、シン首相が新年の初めての外国訪問を中国に選んだのである。

 もちろん、政治目的のみで訪中したわけではない。同1月13日、インド企業のトップ40人あまりが経済学者でもあるシン首相の訪中に随行した形で北京入りしたのである。経済の互恵関係を求めてのことだ。その後、両国は2010年に貿易総額を現在の350億米ドルから600億米ドルに引き上げること、そして核の平和利用を含むエネルギー分野や環境保護分野で協力することで合意したと報じられている。

 かつての日中関係以上に長い「政冷経熱」(経済交流も決して盛んではなかったが)の時代を経た中印がこのように急接近できたのは、対立を避けてパートナーシップを求めることが双方の利益になるからである。今中国はインドの第2貿易国となり、インドも中国にとって魅力的な海外市場となりつつあるのである。

 ちょうどその翌週、筆者は出張でインドを訪問した。行く先々で会うインド人とは必ずシン首相の訪中が話題に上っていた。だが、中国はインドの発展モデルだと言う彼らに、実は中国のIT業界は20年前からインドをモデルに産業造りを始め、今も大連を筆頭に、天津や成都等も第二のバンガロールになろうというスローガンを打ち出しているのだと筆者がいうと、皆不思議そうな表情だった。同じ業界においても中国の現状を良く知る人は少ないようだ。

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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