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PCs市場:融合が目立ち、モバイル製品が市場の主役に (2008年09月03日)

  【概要】
 2007年、中国のPCs市場は順調に推移している。総販売量は2794.2万台に及び、前年比19.5%増となった。PCs分野の産業構造やビジネスモデルに革新が相次いで行なわれ、産業全体が融合されていくように見られる。更に、業界における人材の頻繁な移動は競争の中の融合を反映しているのである。デスクトップPC市場では競争が一段落してきており、利幅率が縮小している中、競争の中心が県レベル市場と農村市場へ移行しつつある。一方、ノートPCが急伸しており、価格も低い水準を維持している。個性化製品が次々と打ち出され、家庭向け製品の競争も激しくなっている。インターネット市場の急成長により、PCサーバーのニーズが拡大されており、多くの産業でブレードサーバーが活躍されている。

 これから数年の間、良好なマクロ経済環境の中で、企業は情報化投資に積極的になるばかりでなく、家庭市場のニーズも引き続き拡大されていくと思われる。PCs市場の見通しは明るいが、市場競争も一層激しくなると見られる。このような激しい競争は、市場の利益率が圧縮されるが、技術とアプリケーションのイノベーションは企業の利益に繋がるであろう。無線技術の発達により、ノートPCは依然としてPCs市場の主要な推進力となる。したがって、モバイル製品はこれからも市場の主役であろう。

 中国IT市場2008年総会で発表された賽迪顧問の最新研究成果によると、2007年、デスクトップPC、ノートPC及びPCサーバーを含めるPCs市場の販売量は2794.2万台に及び、前年比19.5%増、売上高は1471.6億元に及び、12.8%増となった。また、ノートPC市場の成長が速く、家庭向けや中小企業向け市場が急速に伸びている。特に家庭用市場では、再び販売量の倍増を実現した。デスクトップPCとPCサーバー市場の成長は緩やかになってきたが、注目すべき点が多く、ニーズも更に細分化されてきている。


 製品構成から見れば、ノートPC市場の急伸により、デスクトップPCのシェアが下落したが、ノートPCの販売高と売上高はそれぞれ4.6%と5.2%上昇した。また、PCサーバー市場は比較的安定であった。


 2007年の中国PCs市場の特徴は以下の通りである。
  
  PCs市場-融合が目立ち、モバイル製品が市場の主役に
 
 2007年PCs市場において、CPU効率が絶えず高くなり、4コアのアプリケーションも全面的に展開されていた。また、ハードディスクのサイズが絶えず増大し、光ドライブも高容量化とブルーレイ化へと成長したため、製品の性能は全面的に改善されている。

 市場規模も絶えず拡大している。マクロ経済が順調に推移しているため、法人ユーザも個人ユーザも、PCs製品に対する需要が急速に高まっている。中でもノートPC関連製品の需要が急増している。

 統合は市場のもうひとつの特徴である。ブレードサーバーでは共用電源、冷却設備、ネットワーク、交換モジュール及び配線システムを通じて、多機能化とアプリケーションの統合が実現されている。PCs産業構造とビジネスモデルの革新が行なわれており、統合の可能性が多くなってきている。2007年、業界における人材の流動も更に競争中の統合を示している現象とも言える。

 急伸する市場、有名な芸能人を起用する製品PR、日進月歩の技術や製品、出血セール等々。騒々しいノートPC市場は2007年のPCs市場の主役になっていた。売上高においても成長率においても、ノートPCは名実とも市場のホットポイントとなっており、PCsにおける存在感も日々高まっている。無線アプリケーションの成長に従って、モバイル性に優れたノートPCは引き続きPCs市場の牽引力となると見られている。

  デスクトップ-細分市場を巡るシェア争奪戦が始動、販売チャネルが多様化に

 2007年、中国デスクトップPC市場の販売量は2105.1万台に及び、前年比12.9%増となっており、売上高は860.7億元に及び、3.4%増となった。2007年、ノートPCが急速に増加したこともありデスクトップPC市場の成長は減速しているように見える。

 市場におけるプレーヤーは再編を強いられ、マタイ効果により中国のデスクトップPC市場は集中と統合の動きを加速している。また、ダブルコア、大ディスプレイはデスクトップPC市場のキーワードになり、大メモリ化と独立グラフィックカードはVistaによる影響を受けている。家庭用PCは今までの書斎中心からリビング中心へと移されている。販売チャネルにおいても、多元化が一層顕著になり、末端の販売拠点の重要性も浮き彫りになってきた。

 企業ユーザの更なる細かいニーズに応えて、デスクトップPC製品は更に強い専門性と個性化になりつつある。2008年には更に多くの個性化されたデスクトップPCが出荷されるであろう。デスクトップPCに対する認識が深まるに連れて、消費者の留意点は最初の価格、性能からデザイン、使いやすいさ、セキュリティ、エコロジー、省エネルギーなどへと移っていく。

  ノートPC-差別化マーケティングが主導、市場ニーズが競争の行方を左右する

 2007年、中国ノートPC市場は空前の成長を成し遂げ、中でも家庭市場、中小企業市場の成長が目立つ。また、3級以下の市場が次第に活発になってきた。2007年、ノートパソコンの販売量は629.7万台に及び前年比49.5%増を、売上高は500.1億元に及び33.0%増をそれぞれ実現した。

 価格競争と製品の差別化競争の激化により市場競争は更に激しくなってきた。聯想を初め、主要ブランドPCの価格は3999元まで下がった。多様化された消費者のニーズに応えて、メーカーはデザイン、性能の面で差別化製品を打ち出しながら、ビジネスモデルのイノベーションも行なっている。13.3インチスクリーン付き製品は2007年において急速に拡大されてきた。販売チャネルはメーカーの販売拡大戦略の重点となっており、直接に消費者と接する小売り業者が重要視されている。ダイレクトセールがメインであるデルコンピュータも3C売場との協力を始めた。

  サーバー:ブレードサーバーの実用化が加速、マタイ効果が現れる

 ITインフラの簡略化に対する企業の認識が深まっているが、ブレードサーバーはまさにITインフラの簡略化を実現する手段である。共用電源、冷却設備、ネットワーク、交換モジュール及び配線システムを活用すれば、コスト削減とシステムの簡略化を実現できるようになっている。また、ブレードサーバー技術の進歩と低価格化により、ブレードサーバーの実用化が加速されており、 2007年にその売上高は20.8億元に及び、全体サーバー市場の10.5%を占めるようになり、2006年比80.6%も増加している。今まで主に金融、通信、石油探査、地質測量部門等で使用されていたブレードサーバーは、省エネルギー、計算環境や配置、管理が便利であるため、教育部門、政府と中小法人ユーザーの間でも関心度が高まり始めた。現在、IBM、ヒューレット・パッカード、SUN、デルなどのメーカーもブレードサーバーを将来のメイン製品として開発を進め、製品の商業化に力を注いでいる。

 賽迪顧問は2008-2012年においても中国PCs市場は依然として好調を続けると予測している。良好なマクロ経済の影響を受けて、企業は情報化への投資も家庭用市場も持続的に拡大するであろう。「安全PC」、「デジタル家庭」などの概念の普及にしたがって、成熟期に入ったデスクトップPC市場では、使いやすさが重要視され、販売価格の値下げも渋くなるだろう。一方、ノートPCは依然として高成長を遂げ、技術と応用の革新は利益に繋がる重要な要素となる。無線技術の成熟により、小ディスプレィー化のモバイル製品は有力となるだろう。PCサーバーも、簡素化と省エネが重要視され、ソリューションと企業の業務の融合が更に推し進められるであろう。
賽迪顧問は、未来5年の間、中国のPCsの販売量は依然として増加し、2012年には市場規模は2637.6億人民元に上ると予想している。また、2008-2012年の間のPCs市場売上の年平均成長率は12.4%に達する見通しである。




コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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