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薄型テレビ:液晶テレビは継続成長、プラズマテレビも上昇へ (2008年09月03日)

  【概要】
 2008年3月4日、賽迪顧問(CCID)は“2008中国消費マーケットプレイス年次例会”で《2007-2008年中国薄型テレビ市場年間研究報告書》を発表した。2007年、中国CRTテレビは薄型テレビへの移行を加速し、液晶テレビは引き続き伸び、プラズマテレビは下落から上昇傾向に転じており、薄型テレビ市場全般が高成長期に入っている。賽迪顧問のデータによると、2007年中国市場は薄型テレビの販売量が計788.79万台、同期比122.5%増、売上高が662.82億元、同期比70.4%増となっている。また2003-2007年中国薄型テレビ販売量の複合成長率は、172.5%と高い成長率を実現した。


  液晶テレビは引き続き高水準、薄型テレビ成長の主力となる
 2007年、中国液晶テレビ市場は液晶パネル供給量不足の悪影響を受けたが、120.0%の販売量成長率と66.1%の売上高成長率を実現した。そのうち販売量が726.33万台、売上高が590.82億元、販売高は中国薄型テレビ市場で92.1%を占め、市場の主力になっている。賽迪顧問は、2008オリンピックを迎え、液晶テレビ市場が持続的に好調を維持し、1、2級市場で普及していくだろうと予測している。


  プラズマテレビは上昇傾向に転じ、安定成長時期を迎える
 2007年、プラズマテレビメーカーが一連の市場の普及活動を行ったことで、消費者の認知度は大幅に上がり、中国プラズマテレビ市場は次第に勢いを取り戻して、販売量が同期比24.2%増の62.46万台、売上高は同期比1.6%増の72.00億元となった。2008年オリンピックは、プラズマテレビ産業の発展にとっては好機だといえる。オリンピック・スポーツ試合を見ることが、プラズマテレビ消費を支える原動力の1つとなるであろう。また、価格の持続的な下落に伴い、そのコストパフォーマンスは大いに高まり、プラズマテレビは“成長の黄金期”を迎えるだろう。



  薄型テレビの大画面化
 2007年、中国薄型テレビ市場販売量は、依然として32-37インチが最大の割合で、46.5%を占め、次に40-42インチ製品で、30.7%、また43-50インチ製品は非常に急速に伸びており、8.5%程度である。薄型テレビの大型化が顕著になっていると言える。

 それには次の2つの原因が考えられる。1.32および37インチ液晶テレビはパネル品切れの影響による、伸び幅の大幅な減少。2.大画面薄型テレビは価格の下げ幅が大きいため、販売店での販売量の増加につながる。また、46、47インチの液晶テレビが急速に増え、市場の主流になり、松下と日立2社の積極的な取り組みのもとで、50インチのプラズマテレビの出荷台数も激増しつつあるのである。


  低価格がいっそう進み、消費者希望価格ラインに近づく
 2007年、価格戦も薄型テレビ市場競争の主な手段だ。“メーデー”と“国慶節”2つのゴールデンウィーク期間には、外資ブランドが大幅に値下げし、国産ブランドとの価格差はたった1000元となり、薄型テレビの平均価格を引き上げた。賽迪顧問は、外資ブランドの大幅値下げ戦略には原因が2つあると考えている。1.外資ブランドは、もとの価格が比較的高く、値下がりの余地が大きい。2.外資メーカーは川上産業チェーンを保有しており、最終的な損失をパネルの供給で補うことができる。

 今後数年は、薄型テレビの価格がいっそう下がり、消費者の希望価格ラインに近づくだろう。ただ各商品によって、価格の動きは異なる。全世界でパネル供給の影響を受けるも、大画面の液晶テレビとプラズマテレビの価格にはまだ下がる余地があるが、中小画面液晶テレビ製品の価格は安定を保ちながらやや上がる見込み。

 2007年薄型テレビの価格構成は、8000元以下の販売高が最大で、48.9%。次いで8000-11999元で、41.0%となり、両者合わせると、90%近くにも上る。12000元以上の製品は逆に、非常に小さい割合となっている。



  3Cの統合による、薄型テレビの機能マルチメディア化
 3C統合と技術革新に従って、薄型テレビの機能はマルチメディア化しており、国内の主要カラーテレビメーカーは続々とマルチメディア機能付き薄型テレビを発表している。例:創維の発売した“酷開”テレビ全シリーズは、オンライン・フォーマット映画放送機能に直接対応できる機能、家庭娯楽KTV機能、Kuro(酷楽)などマルチメディア娯楽機能を搭載している。長虹はTV2.0戦略を発表して、一連のインターネットとテレビに接続可能なネット・プレーヤーを発表した。TCLとテンセントは共同でITQQゲーム・テレビを発表。海爾は各デジタル記憶装置との互換を可能にするマルチメディアテレビを発表。簡単にネットと各種マルチメディア・ファイルを読み込むことができ、16種のデジタル記憶装置のシームレス接続ができるので、従来の一方的な番組受信のみというテレビの枠を飛び出すこととなった。

 賽迪顧問は今後、薄型テレビの機能が番組放送だけに限らず、ネット、ビデオ・オン・デマンド、ショッピングなどの機能を一体化した多機能付き3C製品が開発されるだろうと予測している。

  国内メーカーは川上へ進出、薄型テレビは統合期へ
 薄型テレビ産業では、川上企業が主導となっており、パネル部門は主に日本、韓国と台湾のメーカーに独占されている。産業チェーンが弱いため、国内メーカーは制限を受けることとなり、もしよりよい資源を確保できなければ、端末で優位に立つことは難しい。そのため、2007年、国産主要メーカーはすべての産業チェーンの統合化を加速した。
 
 長虹はプラズマテレビ事業に力を入れ、国内初のPDP産業資源の統合業者となった。長虹と世紀双虹、MP社は、四川虹欧ディスプレイデバイス有限公司を設立して、そして2007年4月に中国初のプラズマディスプレイ生産ラインを立ち上げた。海信は液晶テレビ部門の川上に参入し始めた。その液晶モジュール生産ラインは2007年9月、海信情報産業園で本格的に稼動を開始し、中国カラーテレビ業初の液晶モジュール生産ラインとなっている。これは中国液晶テレビ機器の生産コスト削減と外国メーカーの直接出荷に依存している現状から抜け出すのに、重要な意義があるのである。また、国内の他のメーカー、例えばTCLなども川上へと動き始めている。

 2007年より、国は薄型液晶産業を国家戦略的産業として扱い、支援を強化し、政策上、資金上に産業関連資源と産業チェーンの整備を強化することで、薄型テレビ上流関連産業の展開に有利な産業環境を整備している。国の産業統合化に対する支援の強化に伴い、中国薄型テレビは産業統合化の進む時代に入っている。

 賽迪顧問は薄型テレビの市場現状と発展ルールについて長期間の研究を行った。その結果、2008-2012年中国薄型テレビ市場(プラズマテレビと液晶テレビを含む)の発展規模の予測は次の通りである。今後5年、端末需要量の増加及び各メーカーの積極的な進出による、液晶テレビとプラズマテレビの市場規模はさらに拡大し、市場全般の伸びも好調である。




コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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