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07年中国IC市場規模:5623.7億元 (2008年09月03日)

~市場成長率は落ち込む~

  ◇2007年の中国IC市場は、売上高が5623.7億元で依然として高い成長率だが、伸び率は4年連続で下落。

 2007年の中国IC市場は、売上高が5623.7億元、同期比18.6%増となり、依然として高い成長率を維持するも、成長率は4年連続で下落することとなった。
 
 2007年は、ここ5年の中で中国IC市場の成長率が最低の年であり、市場成長率は市場基数の拡大に従って次第に下落している。その本質的な原因として、多方面で生産成長率が飽和しつつあることが挙げられる。中国IC市場の高い成長率は下流機器の生産量の高成長に依存して維持できてきた。しかし、数年連続の高成長の後、中国下流機器の生産量の増加速度は遅くなり、多数の領域で飽和している状態になり、さらに、2007年は生産量も下落することとなった。応用部門を見ても、自動車電子以外は高成長の領域はなく、自動車電子市場シェアがより小さいので、市場全体の増加にはあまり反映しない。


  ◇コンピュータ、消費、ネット通信が中国IC市場の約9割を占める

 コンピュータ系、消費系、ネット通信系の三大領域が、2007年中国IC市場の88.1%を占めており、その中でコンピュータ系のシェアが依然として最大で、プリンターなどの生産量は下落したものの、ノートパソコンの高成長に牽引され、2007年中国コンピュータ系のIC市場は、成長率20%を上回ることとなった。通信系では、ICの需要が主に携帯電話その他の通信製品であるため、2007年に中国ネット通信系のIC市場はコンピュータ領域に次ぎ、19.2%の成長を実現。消費系ICは下流機器の生産量が下がったため、伸びは15.6%だけだ。自動車電子領域において、市場全体の成長がゆるやかになってきてはいるが、38.2%という高い成長率を実現しており、2007年中国IC市場で最も伸びた領域となっている。


  ◇メモリ(記憶装置)が依然シェア最大、アナログIC増加は減少

 製品面を見ると、メモリ(記憶装置)は依然として最大のシェアである。近年、記憶装置の価格は市場において、NAND FlashやDRAMの牽引のもと、大幅成長を続けてきているが、2007年に変化が生じている。NAND Flashは正常だと言えるが、DRAMは供給が需要を上回ったため、2007年価格の下落幅が最大となってしまった。下半期にはある程度安定を見せたが、年間価格の大幅下落という状況は変えられなかった。CPUと組み込み式プロセッサーの両者は、高い伸び率を維持している。アナログICの場合、値下げ及び需要の低下などにより、伸び率は著しく低下した。


  ◇全体競争構造は基本的には不変。MTKがトップ10入り。

 2007年、中国IC市場の上位4メーカーは変わらなかった。Intelが依然としてシェア最大メーカーである。SamsungとHynix、2社の韓国メーカーはDRAM価格の下落の影響を受けたが、優れた実績を残している。TIは、アナログデバイス価格の値下げと需要量低下などの影響を受けている。Toshibaはフラッシュメモリと消費市場での実のある取り組みにより、1つ順位を上げ、AMDに代わり第5位となり、AMDは2007年、Intelとの競争の中で劣勢となり、シェアをある程度縮小することとなった。またMTKは、台湾の設計会社として携帯電話プラットフォーム市場の優れた実績を生かし、中国IC企業のトップ10入りを果たしたのである。Qimondaは2007年DRAM価格下落の影響を受け、トップ10から脱落した。


  ◇今後5年増加速度は下がるが、2011年市場規模は1兆を上回る見込み。

 生産能力の転移速度及び製品の生産量成長率の更なる低下に従って、中国IC市場は連続で下落しているものの、2008年は中国IC市場の増加速度のピークを迎え、市場の伸び率はここ5年で初めて前年比増とする見込みだ。主な原因はやはり2008年オリンピックの開催。3Gやデジタル・テレビ等応用部門の相乗効果で市場ニーズがある程度大きくなることによって2008年には最高値を記録するだろう。しかし、機器の生産量やIC市場に関わらず、市場基数はすべて高い水準を保っており、増加の飽和状態が見られるようになった。そのため今後、中国ICの成長速度はやはり緩やかになる。中国市場の世界市場に占める割合の増加に伴い、2者の成長状況は大部分において一致している。つまり中国市場の成長率は、今後数年においては依然として世界市場より高いが、2者の成長率は次第に近づくと予想される。



 向こう5年、中国IC市場の成長速度は次第に緩やかになるものの、依然として世界市場より高く、2008-2012年に中国IC市場の複合成長率が16.2%に達すると予想されている。2011年には、中国IC市場の規模は初めて1兆元を突破し、1兆806億元に上ると見られる。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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