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2008年上半期 中国IDC市場分析 (2008年09月03日)

 2008年上期の中国IDC市場を振り返って見ると、ルール化の中で成長を求めることがこの期間中の主な特徴だと言えよう。賽迪顧問(CCID)の統計によると、2008年上期の中国IDC市場規模は35.1億元となり、通年では57.6億元になると予測されている。


 ◆産業環境の浄化
 賽迪顧問(CCID)のデータを見ると、IDC産業の中で62.1%の企業の売上は400万元以下であり、28.3%の企業の売上は400~800万元であることが分かる。これは中国IDC産業で中小企業が大半を占めていることを意味している。


 2008年以来、公安部、中央宣伝部、情報産業部等13の中央政府機関がIDC産業の整備を呼びかけ、IDC営業許可証を持たずにホスティング、バーチャルホスト業務を行なう業者への取締りを強化してきた。急にストップをかけられた多くのIDC業者はタイムリーにバックアップを取らなかったため、大きな損失を蒙った。無理に低価格を追求した結果、サービスと信頼を疎かにした「中索事件」は業界で警鐘を鳴らした。一連の取り締まりによって産業の競争環境が浄化され、秩序無き「価格戦」に終止符が打たれたことによってIDC市場の健全な成長が期待できるだろう。

 ◆業界再編によるユーザーフレンドリーの実現
 2008年5月、久しく議論してきた業界再編案が公表され、三大プロバイダー鼎立の時代に入った。IDC市場にとっては、いままで南方テレコムと北方網通の互換性問題が大きな壁だったが、これからは選択肢が増え、プロバイダーに束縛されないように業務を展開することが出来るようになった。一方、選択肢が増えたことで、各IDC企業はサービスの品質を高めることで顧客を集めなければならない。IDC業界はサービス重視の段階に入ったため、インターネット企業に対するサービスも更なるユーザーフレンドリーが期待できそうである。

 ◆企業情報化とIDCの将来
 2008年のIDC産業は高まる各業界の情報化ニーズによって健全な成長が期待される。歴史を振り返って見ると、中国IDC産業はウェブサイトの急速な増加によって成長してきた産業で、顧客は商業サイトに集中していた。2008年に入ってから、益々多くの中小企業が今までのメールの送受信、企業のPRのみならず、自社ウェブサイトによる取引にも力を入れるようになった。

 従来の低価格のバーチャルホストサービスはすでにこのような中小企業のニーズの変化に対応できなくなったため、IDCのターゲットにも新たな変化があるだろうと予想される。伝統的な企業はIDCの主な顧客になる。ITアウトソーサーは企業の分業化特徴を把握し、伝統的な企業にトータルITソリューションを提供するべきである。

 また、CDNはネットワークへのアクセスの速度を高める技術だが、Web2.0m、StreamMediaサイト、eコマース、ゲームサイト等のインターネット業務の成長により、2008年のCDN業務は急ピッチで発展してきた。藍訊、網宿、帝聨等の専門IDC業者はCDNプラットフォームを立ち上げて、大手プロバイダーと競争し始めた。

 ◆付加価値サービス
 IDCの製品は主にサービスである。継続的に市場の潜在力を引き出しながら、専門的で差別化したサービスを打ち出す企業こそ市場の生存競争に勝てるのである。付加価値サービスが盛んに行なわれている現在、IDC企業はSOC(セキュリティオペレーションセンター)を積極的に導入するだろうと思われる。SOCはセキュリティ認証、セキュリティ保証、セキュリティシームレス転移等セキュリティ関連ハードとソフトの集大成であると同時に、政府の認証を得ることも出来るため、IDC企業にとっては一石数鳥である。著名なIDC企業である中国万網はISCCCがERT/CCと協力して行われた国家情報セキュリティサービス資格認証を得た。IDC企業はこのような認証と業務を通じて中国のネットワークセキュリティやネットワーク運営環境の浄化に貢献できるものである。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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