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業界再編と都市無線化中のWLAN市場 (2008年09月03日)
~2008年上半期 中国WLAN市場総点検&トレンド分析~
業界再編と都市無線化の影響により、WLAN市場はかつてない上昇局面に来ている。2008年上期、国内のWLAN市場規模は13.8億元に達しており、昨年同期比31.4%増である(昨年は10.5億元)。2008年6月現在、WLANのホットポイントは1万余り、110都市に分布している。また、30以上の無線化都市が企画され、建設中にある。2008年下期において、プロバイダー各社が模索したWLAN運用モデルが打ち出されつつある中で、WLAN市場規模はプロバイダー各社の購買ブームに乗って成長し、2008年末には28億元に達するだろうと賽迪顧問(CCID)は予測している。
一、2008年上期におけるWLAN市場の特徴 ◆業界再編加速、プロバイダーのニーズが拡大 業界再編案の公表や再編の実施により、我が国のプロバイダーによるWLAN注目度が高まることが市場規模の拡大に繋がっている。業界再編以前よりプロバイダー各社ではすでにWLAN業務の拡大が計画されていた。中国テレコムはいち早くWLANの成長性を認め、業界を先駆けて開拓的な一歩を踏み出した。調査によると、中国テレコムはすでに内部でWLANの市場規模、ネットワークの範囲、業務の展望などについて初歩的な企画、論証および計画の作成に取り組みはじめている。また、設備の入札募集、設備のテスト及びメーカーの選定を手始めに、全国各地で場所の選定も行なわれている。業界再編案が公表されてから、中国テレコムは更に重要な場所を手に入れようと積極的でかつ慎重な購買を行なっている。中国モバイルも業界再編後、WLAN業務に注力し、五輪関連施設にWLAN設備の搬入を急いでいる。 ◆「無線化都市」ブーム、WLANブーム 中央政府が推し進めている情報化の中でも都市の情報化が特に重要視されている。「無線化都市」政策は、情報化の重要な一歩と見なされている。2008年上期、中央政府が推し進めている施策の下で、プロバイダーやWLANメーカーの協力により、「無線化都市」の建設が順調に進んできた。そのため、WLAN市場も活気付いてきた。大手プロバイダー数社が共同でWLAN事業に数億元を出資したこともさることながら、中堅の中電華通が北京での大規模な投入や積極的な建設、H3C、シスコ及び北電等設備メーカーのタイムリーな業界市場での頻繁な動きからも、「無線化都市」の様相が垣間見ることができる。 ◆メーカー間競争の激化 賽迪顧問(CCID)のデータによると、2008年上期、国内WLAN市場規模は13.8億元に達し、昨年同期比31.4%増となっている(昨年は10.5億元)。2008年6月現在、WLANのホットポイントは1万余りとなり、110都市に分布している。また、30以上の無線化都市が企画され、建設中にある。 また、WLAN市場の急速な成長に伴い、ブランド間の競争も日増しに激しくなってきた。H3Cの「室内放装型」、「室内分布型」及び「集中制御型」はすべて中国テレコムのWLAN購買リストに含まれ、中国テレコムのWLAN製品とソリューションの最大の供給者となり、WLAN業界のリーディングカンパニーとなっている。D-link、TP-link、Netgea等は、プロバイダー向け市場では勝てなかったが、すでに家庭向け市場争奪戦に突入している。 二、2008年下期WLAN市場のトレンド ◆WLAN運用モデルの模索 再編後、業界の動向を先取りする者が業界を制すことになると言えよう。良い運用モデルを創り出し、全業務を上手く展開できる者が競争に勝つことになる。中国テレコムは自身の無線ネットワーク分野における劣勢を挽回するため、海外の成功モデルを検討し、中国の国情に合う有効で効率的なモデルを模索している。現在、無線共用「One for all and all for one」製品が開発中で、2008年の第4四半期に出荷し、全国的に展開される見込みである。中国網通も積極的にWLANサービスと製品を開発しており、2009年中に販売することになるだろう。 したがって、プロバイダーによるWLAN運用モデルの創出でユーザーのWLANに対するブームも喚起され、WLANのエンドマーケットも活気付く。これによってプロバイダーのWLANの後期工程の業務も展開しやすくなり、各種のWLAN製品の市場浸透も加速するだろう。賽迪顧問(CCID)は、2008年の中国WLAN市場規模は28億元になるだろうと予測している。 ◆規制緩和によるWi-Fi携帯電話の明るい展望 現在、Wi-Fi携帯電話の使用は禁止されているが、以下の理由で規制緩和が間もなく行なわれることが期待される。 まず、WLANの普及が進行しており、特に北京、上海、広州等の都市は「無線化都市」の目標に近づく中で、携帯電話等モバイル端末によるネットワーキング環境が整う。 第二に、人々の生活テンポが日々速くなる中で、携帯電話を利用して多くのことを処理する必要性が高まって来る。Wi-Fi携帯電話でネットサーフィン、株式の売買、eコマース、ネットゲーム等を行なう欲求が高まるだろう。 第三に、華為や中興のような国内企業は、独自でWi-Fi携帯電話を開発する実力がつく。規制緩和が実現すれば、その実力を発揮するだろうと思われる。
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コラムニスト | CCID |
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最終更新日 | 2012-11-14 |