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2008年上半期、中国携帯電話生産・販売に関する分析 (2008年09月03日)

  ここ数年、世界の携帯電話産業は中国大陸シフトを進めており、我が国は世界最大の携帯電話製造基地、世界最大の携帯電話輸出基地になった。2008年上半期、中国携帯電話の生産台数、内販台数、外販台数は引き続き二桁の伸びとなり、産業規模も順調に拡大している。

 ◆2008年上半期の携帯電話生産状況
 2008年上半期、中国市場における携帯電話生産台数は2億7,900万台に達した。昨年同期比21.20%の伸びで、引き続き順調に伸びており、国内向け及び輸出向けの2つの市場が中国携帯電話の生産規模の再拡大に貢献している。ここ数年の成長を経て、我が国の携帯電話産業は、北京・天津・塘沽、長江デルタ、珠海デルタという国際競争力を備えた3大産業クラスターを形成し、携帯電話の生産能力もレベルアップし、世界最大の携帯電話製造基地という我が国のポジションを確固たるものにした。


 ◆外国メーカーが依然優勢だが、全体に占めるシェアは減少
 携帯電話の製造分野では、外国メーカーの生産シェアが下がっているものの、優勢を占めていることに変わりはない。2008年上半期、中国携帯電話の製造でトップ5に入ったブランドは、いずれも外国メーカーで、ノキア、サムソン、モトローラ、LG、ソニーエリクソン製の携帯電話が生産台数全体の70.97%を占めたが、昨年同期比で7.3ポイント減少している。うち、モトローラの減少ぶりが目立つが、逆に、サムソン、LG、ソニーエリクソンは伸びた。国内メーカーの生産シェアの伸びは、主に華為や中興によるもので、同期比でそれぞれ464.54%増と16.28%増だった。


 ◆国産企業の数は多いが、実力アップが課題
 現在、国産携帯電話メーカーは100社近くあるが、いずれも規模が小さく、規模で有利に立てるメーカーがほとんどない。賽迪顧問(CCID)の観測データによると、2008年上半期、ノキア、モトローラ、サムソンの3社の生産台数だけで、生産台数全体の59.32%を占めている。これに対し、林立する国内企業は、実力の限界を考慮して、品薄商品で攻める戦略をとったが、企業規模拡大にはあまりつながらなかった。

 ◆2008年上半期の携帯電話の内販状況
 賽迪顧問(CCID)の研究データによると、2008年上半期、中国国内市場の携帯電話販売台数は、9640万3,000台に達し、2007年上半期に比べて17.52%伸びた。機種交換ユーザーと新規ユーザーが増え続けたことがプラスとなり、2008年上半期の国内携帯電話販売市場規模は右肩上がりで拡大した。工業・情報化部が7月23日に発表した我が国の電信業に関する統計によると、今年6月までに、我が国の移動電話ユーザーは6億100万軒に達しており、増加した新規ユーザーは5345万1,000軒だった。新規ユーザーの携帯電話購入が内販の伸びの主な原因である。


 ◆ノキアの独壇場、外国ブランドが内販で3分の2のシェアを占める
 ノキアなど外国ブランドの携帯電話ルートの低迷と製品価格調整が影響し、またローエンド携帯電話市場のシェアが高まったことにより、国内携帯電話市場のシェアは引き続き高くなっている。ノキア、サムソン、モトローラの外国ブランド3社による国内市場内販シェアは約3分の2を占めおり、ノキアはGSM分野での圧倒的強さもあって、シェア率41.02%という圧倒的強さで携帯電話内販市場での覇権をゆるぎないものにしており、その他ブランドを全く寄せ付けていない。低価格かつ低コストを武器に、一部国内メーカーも引き続き、県級以下の市場での新規ユーザー獲得のチャンスをうかがっており、例えば、天宇朗通などのメーカーはなかなか好調である。



 ◆国産ブランドがCDMA市場の半数を占める
2008年上半期、国産ブランドは国内CDMA携帯電話市場でわずかに外国ブランドを凌いで、半数のシェアを獲得した。サムソン、華為、中興がCDMA内販市場のトップ3である。サムソンと華為は25%を超える国内市場シェアで、他のメーカーを引き離し、CDMA内販市場のトップを走っている。携帯電話技術面での特色と付加価値を強調しているのが中興と華為で、長年にわたる技術蓄積を武器に、また、外国メーカーがここ数年はCDMA市場というビッグチャンスをさほど重視してこなかったこともプラスとなり、瞬く間にCDMA端末市場シェアを席巻した。

 ◆2008年上半期の携帯電話外販状況
 賽迪顧問(CCID)の研究データによると、2008年上半期、中国が輸出した携帯電話は1億8,200万台で、2007年上半期比で22.74%の伸びである。外販台数は生産台数全体の65.1%を占め、2007年の比率に比べてわずかに減少している。我が国は依然、世界最大の携帯電話輸出基地である。


 ◆国産ブランドがCDMA市場の半数を占める
 2008年上半期、国産ブランドは国内CDMA携帯電話市場でわずかに外国ブランドを凌いで、半数のシェアを獲得した。サムソン、華為、中興がCDMA内販市場のトップ3である。サムソンと華為は25%を超える国内市場シェアで、他のメーカーを引き離し、CDMA内販市場のトップを走っている。携帯電話技術面での特色と付加価値を強調しているのが中興と華為で、長年にわたる技術蓄積を武器に、また、外国メーカーがここ数年はCDMA市場というビッグチャンスをさほど重視してこなかったこともプラスとなり、瞬く間にCDMA端末市場シェアを席巻した。

 ◆2008年上半期の携帯電話外販状況
 賽迪顧問(CCID)の研究データによると、2008年上半期、中国が輸出した携帯電話は1億8,200万台で、2007年上半期比で22.74%の伸びである。外販台数は生産台数全体の65.1%を占め、2007年の比率に比べてわずかに減少している。我が国は依然、世界最大の携帯電話輸出基地である。


 ◆中国携帯電話は、加工貿易比率、外資メーカーへの依存度が高い
 我が国の携帯電話の輸出形態は、主に進料加工で、一般貿易の比率が極端に低く、加工貿易の比重はここ数年90%以上と変わっていない。このことが、我が国の携帯電話製造産業が外国メーカーや国際市場に対する依存度を極端に高めている原因である。2008年上半期、ノキア、サムソン、モトローラ、LG、ソニーエリクソンの5つのブランドが、外販市場に占めたシェアは70%を超えた。外販市場では、国産携帯電話企業はコア技術に乏しく、イノベーション能力も弱いため、加工貿易比率の高さや外国メーカーへの依存度の高さなどの構造上の矛盾を短期間で改善することは難しい。


 ◆国産携帯電話の輸出ブランドは数社に集中
 内販市場における国産携帯電話ブランドは数多く、市場が分散しているという特徴がある。一方、外販市場における国産携帯電話の輸出シェアは、中興、華為、TCL、ハイアールなどの一部ブランドに集中しており、その他の国産携帯電話企業は数が多いものの、輸出シェアは非常に少ない。輸出市場では携帯電話製品に対する要求が厳しいため、中興や華為などのメーカーは、厚い技術力や良好なブランドイメージを武器に、海外市場を開拓する実力を備えている。

 ◆2008年下半期、携帯電話の生産・販売に関する見通し
 賽迪顧問(CCID)は、2008年の中国の携帯電話生産台数は6億500万台(同期比16.9%増)に達すると予測している。また、携帯電話の内販台数は2億500万台(同期比17.55%増)に達する見込みである。外販台数は4億台(同期比16.79%増)に達する見込み。携帯電話の生産・販売は引き続き急速に伸びる見通しだ。






 我が国はすでに世界的な産業クラスターを形成し、多くの携帯電話生産に関連する産業も整い、携帯電話産業チェーン間での協力体制も築き上げ、産業集積効果を強化し、それによる国内携帯電話産業チェーンのレベルアップも実現した。全般的に見て、我が国の携帯電話生産規模は引き続き拡大する状況にある。

 中国電信は、中国聯通のCDMA事業を1,100億元で買収した後、益々意気盛んにCDMA市場を開拓している。このことは、中国のCDMA市場が間もなく飛躍的に伸びる時期を迎えることを意味している。中国電信は、CDMA端末の供給不足や携帯電話価格の高騰が業務普及のボトルネックになると見て、端末買収事業に力を入れ、かつてないほどのCDMA端末ニーズを呼び起こした。おそらく、我が国のCDMA携帯電話の生産・販売市場は急速な発展時期を迎え、華為や中興などの国内著名ブランドは、技術力や運営企業との良好な協力関係を武器に、益々勢いを増し、国内CDMA市場でのシェアを一層高めるだろう。

 北京五輪という追い風を受けて、中国移動は4月1日より正式に、TD-SCDMAの一般向けサービス(試運営)をスタートした。3G端末市場の幕開けに伴い、既存メーカーの競争状況にも変化が生じるだろう。国内企業はTDの商用化初期はある程度優位であるが、チャンスさえつかめば、外国の著名ブランドとの競争で有利なポジションに立つことができ、中国携帯電話産業の生産・販売の枠組みを根底から覆すことが可能になるだろう。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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