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ユニファイド・コミュニケーション(UC)市場の急速成長 (2008年09月03日)

~2008年上半期中国UC市場分析~

 ユニファイド・コミュニケーション(以下、UCとする)とは、一種の融合技術を基本特徴とした特定ソリューション、アプリケーションである。各種コミュニケーション方式を効果的に融合し、ユーザーの便利ですばやい情報の取得およびコミュニケーションをしたいというニーズに応えるもので、近年グローバルに発展しており各大手通信、ITメーカーが次々と市場に参入している。賽迪顧問(CCID)によると、2008年上半期の中国UC全市場規模は21.01億元に達し、前年同期比60.9%増となっており、引き続き確実に成長していく見込みである。

一、2008年上半期中国ユニファイド・コミュニケーションの特徴
 ◆万全な後押しによる、猛烈な市場の成長
 2008年上半期、中国UC市場は2007年の急速な成長を引き続き維持し、全市場規模21億を突破、前年同期比60.9%増となり、2006年1年の市場規模を大幅に上回っている。


 中でも、通信設備市場が最大シェアを占めており、賽迪顧問(CCID)のデータによると、2008年上半期UC設備市場が全体の67%を超える割合を占め、現在UC市場は成長段階にあるため、Cisco、Nortel、Avaya等の有名電信設備メーカーが依然として主なシェアを占めている。しかし、Microsoft、IBMといった世界トップのソフトウェアメーカーがUC市場に参入することで、将来UCソフトウェアのシェアも増えることが予想され、技術の進歩やアプリケーションの発展に従い、通信インフラ上でのUCソフトシステムソリューションにおいても更なる発展の余地があるだろう。

 現在、中国UC市場の推進力は以下の2点である。第1に、日増しに大きくなる市場ニーズ。より多くの企業において、内部通信への要求がVoIPの低コスト通信のみならず、コミュニケーション効率や情報伝達速度に対しても高まっており、UCの登場が順調なコミュニケーションを可能にし、経営陣の悩みを解決することとなった。第2には、各大手通信およびITメーカーの牽引が挙げられる。Cisco、Avaya、Alcatel、Nortelなど従来の通信ネットワーク設備メーカーや、Microsoft、IBM、HPといったIT企業のみならず、Googleなどのインターネット大手も次々とUC市場に参入している。各メーカーが自社を代表するIP通信の強みを発揮していることで、様々な角度からUC産業の発展を後押ししているのである。

 ◆群雄割拠 大手メーカーの熾烈な競争
 ここ数年の発展を経て、UC通信は業界一見通しがいい通信分野となっている。特にMicrosoftやIBMの参入が、Cisco、Avaya、Nortelなどの従来の電信設備メーカーにこの分野の大きなビジネスチャンスについて考えさせることとなった。また、更に多くのソフト・ハードウェアメーカー、電信設備サプライヤー、端末メーカー、電信キャリア、インターネットメーカー、ITコンサル業者、エスアイヤーなどもUC市場に惹きつけ、新メーカーが絶えず参入する群雄割拠の局面を作り出しているのである。

 各大手通信、ITメーカーが万全の準備をし、自社の強みを磨き、潜在的な高成長が期待されるUC市場で勝ち残って行こうとしている。賽迪顧問(CCID)のデータによると、2008年上半期中国UC市場の中では、Cisco社が15.3%とトップシェアを保ち続けており、通信設備分野のNortelとAvayaがそれぞれ12.1%、11.7%でその後を追っている。特筆すべきは、MicrosoftやIBMといった世界で唯一の「エンドユーザー」で、UCソフト市場を占領しつつあり、シェアや全体の競争力に関わらずその勢いは強力である。このように短時間のうちに各大手メーカーが参入し、UC市場は空前の群雄割拠時代を迎えている。


 ◆Win-Win、メーカー同士の協力
 UC市場の各メーカー間の競争が熾烈になる一方で、その競争の中生き残っていくために、各企業同士の横の協力が次第に強まっている。ソフトウェアメーカーを例に挙げると、Microsoftはそのデスクトップソフト分野の豊富な基礎に基づいたUC戦略を打ち出し、Nortel、サムソン、NECなど多くの通信設備メーカーと協力し、巨大なUC陣営を組織している。そして各メーカー間で技術を互いに共有し、設計規範を統一し、製品の共同開発を実現し、ハードウェアとマイクロソフトシステム、ソフトウェアとの結合を保証している。IBMはLotus Domino8をリリースしデスクトップアプリケーションを統一、つまりWeb 2.0、メール、UC、アプリケーションインテグレーションの全面的な整備を目指しており、Cisco、Nortel、Siemensなどのメーカーと提携している。Nortelは、MicrosoftおよびIBMと提携することにより、ユーザーを拡大し、同社の市場での地位をさらに安定させている。

二、2008年下半期UC市場動向予測
 賽迪顧問(CCID)は、2008年下半期も中国UC市場は引き続き好調な伸びを維持、下半期の市場規模は27.7億元に達し、通年で48.7億元、前年同期比57.1%増となるだろうと予測している。そして2012年までには、中国UC全市場規模152億元、平均年成長率は35.7%を超えると見られる。


 上半期の国内UC市場の基本的な動向を見ると、下半期は次のように予想される。
 
 1.ソフトウェアのシェア増大。UC技術の成熟、各種の新興ソフトウェアアプリケーションの拡大、Microsoft、IBM等ソフト大手の参入などにより、下半期UCソフトウェア市場は伸びるだろう。

 2.企業間の強く、深い提携関係。自社の利益を脅かすような市場の激しい競争の中では、縦方向の協力関係こそ各々の強みと競争力を維持する最善の策であり、UC分野の戦略において重要なのである。

 3.技術協力と整備。UCメーカー間の提携が深まるに従い、UC製品や企画が公開され、互いの交流もますます頻繁になり、技術の融合と整備が進んでいくだろう。

 4.よりユーザーニーズに近づくUC製品。UCの基本理念は“人をもって基本とする”である。熾烈な市場競争により、各メーカーはよりユーザーニーズに近づいたUC製品を打ち出していくだろう。


コラムニスト CCID Ccid
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最終更新日 2012-11-14

 

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