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オリンピック交通規制の意外な効果 (2008年08月30日)

 北京オリンピック・パラリンピックの開催に当たって、北京では7月から交通規制が行われています。マイカーはナンバーの末尾が偶数の車は偶数の日のみ、奇数の車は奇数の日のみしか走ることができませんので、北京の渋滞はかなり緩和され空気も心なしかきれいになったような気がします。

 北京市が全市18区県の3098人を対象に調査をした結果によれば、自動車所有者の内、夫婦で車を所有している場合に可能なナンバー変更制度を利用しマイカーに乗り続けた人はわずか1.2%。その他の人はほとんどがマイカーの使用をやめ、60.4%がバスや地下鉄、24%が自転車、7.3%が徒歩など他の移動手段を使うようになったとのことです。

 このため、北京の渋滞はかなり緩和されましたが、多くの回答者がバス、地下鉄の混雑が激しくなり、タクシーも空車を見つけるのが難しくなったとしています。

 この交通規制で思わぬ恩恵を被ったのは、地下鉄の駅に直結したショッピングモールです。購買力のあるマイカー保有者が地下鉄を利用するようになったことにより、こうしたショッピングモールは売上を大きく伸ばしているようです。

 また、今までマイカーで買い物に出かけていた人が外出を控える傾向も出てきており、家に居ながらにして買い物ができるネットショッピングも好調のようです。あるネットショッピングのサイトは、交通規制が始まってから売上が20%も増加したそうです。

 今まで増え続けてきた北京のマイカー。マイカーの数は既に北京の市街地の自動車インフラのキャパシティを超えており、マイカーで買い物に出かけても、ショッピングセンターに行くまでに渋滞で1時間、やっと到着したと思ったら駐車場の順番待ちで更に1時間、などという全く便利なんだか不便なんだかわからないような状態が続いていました。

 今回の交通規制でマイカー族は「バスや地下鉄も思ったほど不便ではない」ということを再認識したのではないかと思います。

 この交通規制は9月20日(土)には終わってしまいますが、交通規制が終わった後もマイカー族がバスや地下鉄を利用し続け、北京が見栄を張るためだけに人々がマイカーに乗る「エゴな街」から、おカネは持っていても公共交通機関や自転車を使う「エコな街」に生まれ変わることを祈っています。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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