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マンションより豚肉の方が儲かる? (2008年09月27日)

 今中国では不動産市場が下落に転じつつあります。その原因は中国政府によるインフレ抑制政策です。

 中国政府は昨年から続いている国内のインフレを沈静化させるために、金利や預金準備率の引き上げなどの金融引き締め政策を続けており、これが不動産市場に大きな影響を与えているのです。

 こうした状況を受けて江蘇省南京市では不動産業者が次々と養豚業に転業するという不思議な現象が起きているそうです。南京市農林局によれば非公式統計ながら、養豚業に新たに参入した不動産関係企業は既に数十社に上り、この動きは現在も加速しているとのことです。

 なぜ、不動産業者が一見何の関係もないように見える養豚業に転業するのか。2つの業界をつなぐキーワードは「中国政府のインフレ抑制政策」です

 中国政府のインフレ抑制政策は今後も続くことが予想される。インフレ抑制政策は不動産業には大きな向かい風となる。では、インフレ抑制政策で最も恩恵を被る業種は何か。それは国民生活には欠かせないにも関わらず最も値上がりが激しいため、中国政府が手厚い補助政策を打ち出している豚肉、つまり養豚業だ。養豚業に転業すれば、今まで向かい風だった中国政府のインフレ抑制政策を逆に追い風にできる、という発想のようです。

 まぁ、節操がないと言えば節操がないですが、不動産市場の変調を敏感に感じ取り、政府の政策を向かい風から追い風に変え、全く経験のない業界にも大胆に転業するこの商売のセンスや行動力には見習うべき点が多いと思います。

 昨年以降、南京市の不動産価格は10%しか上がっていませんが、豚肉価格は50%近く上がっています。不動産業から養豚業に転業した南京のある業者は「マンションを売るより豚肉を売る方が儲かる」と言っているそうです。

 この商魂。脱帽です。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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