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世界第2位の経済大国・中国 (2009年06月30日)

 つい2ヶ月ほど前までは、日本は来年2010年には国内総生産(GDP)で中国に抜かれ、40年以上にわたって守り抜いてきた世界第2位の経済大国の座を中国に明け渡し、第3位に転落するかもしれない、と言われていました。

 しかし最近、2008年の中国のGDPが4.30兆米ドルと、日本の4.35米ドルに肉薄していることが判明、来年を待たず今年中に中国が日本を追い抜くことが確実となってきました。これにより中国の経済学論壇やインターネット上で「世界第2位の経済大国・中国」についての議論がにわかに盛り上がっているようです。

 日本との関係については「中国が日本を抜いて世界第2位の経済大国になれば、日本は中国を対等に扱うようになるだろう」とか、「日本の関心がアメリカから中国に移るかもしれない」などという期待の声がある一方、「たとえGDPの総額で日本を抜いても、1人当たりのGDPでは3000米ドル強とまだまだ日本の1/10以下に過ぎない」という慎重な声もあるようです。

 経済専門紙・華夏時報は「GDPは国民生活の豊かさを表すものではないが、世界経済という舞台で国家の発言権の大きさを表すことになるため当然意義はある」とし、「中国のGDPが日本を抜けば、アジアの2強が本当の意味で両立することになり、地政学的な影響を及ぼす可能性がある」と強調しました。

 その上で同紙は「GDPでアメリカを抜いて世界第1位になるためには、従来の経済発展モデルからの脱却が必要だ」と提言しています。これまで中国は安価な労働力という比較優位で世界の分業体制に加わることによって経済発展をしてきました。これは高度経済成長期の日本の経済発展モデルと良く似ているのですが、ここから更に上に行くためには、その後低成長に陥ってしまった日本を反面教師にし、「イノベーション(変革力)」を武器にしたアメリカの成長モデルを参考にして、内需に立脚した経済発展に切り替える必要がある、ということのようです。

 反面教師ですか、日本は...。

 既にアメリカを抜いて世界第1位の経済大国になることに照準を合わせている中国。そんな中で日本は、製造業を更に高付加価値化していくのか、それとも規制を緩和して投資を呼び込むのか、または、香港や韓国のように東アジアの金融センター、物流センターとして生きていくのか。今こそ隣の経済大国・中国と競合せずに共生し、中国の成長を素直に喜べる立ち位置に自らを置けるような21世紀前半の日本が目指す国家のあり方を日本人全員が一緒になって真剣に考える必要があるのではないか、と私は思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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