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今、中国で自動車が売れまくっています (2009年07月31日)

 今、中国で自動車が売れまくっています。

 この金融危機の不景気の時に何を寝ぼけたことを言っているのか、と思われるかもしれませんが、実際に中国の自動車業界は、需要に生産が追い付かなくてうれしい悲鳴を上げているようです。

 日産自動車の中国合弁会社・東風汽車有限公司(湖北省武漢市)の中村総裁によれば、今年1-5月の同社の乗用車販売台数は18万台と前年同期比41%増。5月は同55%増と特に大きな伸びを記録したそうです。

 このため、同社の在庫はゼロ、生産が需要に追い付かない状態にあるため、日本国内の工場から部品を優先的に回してもらっているのだそうです。

 この状態は日産に限ったことではなく、今年1-5月の全国の乗用車販売台数も、日産ほどではないですが前年同期比30%も増えています。

 この原因は中国政府が景気刺激策の一環として、小型車購入に優遇税制を適用するなどして自動車業界を支援したことにあります。しかし、中村総裁は「需要は戻っており、購買層が広がっている。刺激策がなくなっても、需要が大きく落ち込むことはない」と見ており、同社は現在350店ある中国国内の販売店を、乗用車の需要が急激に伸びている中規模都市を中心に年内に更に30店増やす方針であるとのことです。

 何だか金融危機による不景気の真っ只中とは思えない、いけいけどんどんな話です。

 この状況から読み取れるのは、中国全体が全て不景気になってしまったわけではない、ということです。

 確かに、報道されているようにかつての「世界の工場」の中心地、広東省の労働集約型輸出工場の多くは倒産や廃業に追い込まれ、その工場で働いていたたくさんの農民工(のんみんごん)が職を失って故郷の内陸部に帰っていきました。

 しかし、内陸部の会社や輸出とは関係のない会社は、あまり今回の金融危機による不景気の影響を受けていないようです。実際、私は北京で中国企業の人に会う度に「金融危機の影響はどうですか?」と訊いているのですが、「うちはそれほどでも...」とか、「おかげさまで全く...」という人が多いです。

 中国全体の成長率としては今年は8%成長が確保できるかどうか、というところまで落ち込んでいるのですが、実際は景気の良い企業と景気の悪い企業がまだら模様のように混在しているようです。

 そして、景気の良い企業の人たちが「金融危機と言われているけれど、うちはあんまり関係ないなぁ」などと言いながら、自動車を買っているのではないでしょうか。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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