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日本の政権交代に見る中国の未来 (2009年09月30日)

 日本では衆議院議員選挙で民主党が大勝したことから、自公連立政権から民主党を中心とした政権への政権交代が起きました。

 中国各紙はこの政権交代を異例の大きさで報じましたが、中日関係に関して言えば、民主党政権になっても大きな変化はないだろう、ということで、まずは民主党のお手並み拝見、という論調が強いように思います。

 しかし、今回の日本の政権交代は、未来の中国を暗示するような中国にとっても重大な出来事なのではないかと私は思っています。それは、中国共産党が今回の自民党のようにその役割を終え、国民からの支持を得られなくなる日が必ず来る、ということです。

 私は日本の高度経済成長は自民党の一党独裁体制の賜物だと思っています。独裁政権が長期的なビジョンを持って国土を開発し、国民1人1人の目先の利益よりも国家全体の利益を優先することによって日本国を世界第2位の経済大国にまで押し上げ、結果的に国民により大きな利益を与えることが可能となりました。

 日本は民主主義国家ですので、当時の国民は投票により自民党を政権の座から引きずりおろすこともできたのですが、「いろいろと細かい問題はあるが、全体的に言えばうまくいっているんだから、とりあえず自民党に任せておこう」ということで、日本国民は自民党に政権を任せ続けました。

 現在、高度経済成長を続ける中国の現状は、当時の日本の状況と酷似しています。

 もちろん中国は日本と違って国民が選挙で政権を選ぶことができませんが、国民が発言力を強めてきている今の中国ではもはや民意を無視した政権運営はできません。

 しかし、それでも現在、ネット上でオピニオンリーダーとなっている、1980年以降に生まれたいわゆる「80后(ぱーりんほう)」の世代の中には、民主化による混乱で国力が落ちることよりも、中国共産党の一党独裁体制を厳しく監視しつつも支持し、中国を更に強い国にすることによってプライドを満たし利益を享受しよう、という言わば左翼ナショナリズム的な考え方を選択する人が増えています。

 やはり高度経済成長中の国家にとっては、一党独裁体制が最も適した政治体制であるようです。

 しかし、高度経済成長が終わり、バブル崩壊、平成不況を経た今の日本には、もはや自民党の一党独裁体制は必要ではなくなってしまいました。日本では国民が各党の出したマニフェストを読み、納得できる政策を掲げる政党に投票して政権を選択する、という成熟した真の民主主義が始まろうとしています。

 一方の中国はしばらくは高度経済成長が続くと思われますが、日本のように高度経済成長が終わったときが中国共産党がその役割を終えるときです。そのとき経済的にも今よりずっと力を付けた中国国民は、どういう形になるかはわかりませんが中国共産党に下野を促し、中国は民主化への第一歩を踏み出すことになるのではないか、と私は思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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