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内陸部には誰が行く? (2010年05月31日)

 今、中国では内陸部に注目が集まっています。

 昨年、金融危機による景気の減速に対して、中国政府は巨額の財政出動や、金融緩和などの対策を打ちましたが、その多くは開発が遅れていた内陸部の開発計画を前倒しするような形で投入されました。

 このため、2009年の経済成長率は、上海市8.2%、浙江省8.9%、広東省9.5%と、沿海部が軒並み一ケタ成長に止まったのに対し、内モンゴル自治区17.0%、重慶市14.9%、四川省14.5%と内陸部は10%台の力強い成長を見せました。

 そこで日本企業がにわかに注目をし始めたのが、今まで中国企業の独擅場だった内陸部市場です。

 先日、日本貿易振興機構(ジェトロ)がまとめた報告書でも、重慶、西安(陝西省)、成都(四川省)、武漢(湖北省)、長沙(湖南省)など内陸部の主要都市の一人当たりの可処分所得は、上海の2003-2005年ぐらいの水準まで高まっており、今後、更なる消費拡大が期待できる、とされています。

 問題は「じゃあ、誰が行くんだ?」ということです。

 上海の2003-2005年ぐらいの生活水準、と言っても、北京や上海などの沿海部と比べると、内陸部の都市には日本語が通じるアパートメントや日本料理店などの日本人インフラが圧倒的に少なく、ただでさえ海外駐在を嫌がる人が増えている、と言われている日本企業で、そんなところに駐在をする社員を見つけるのは至難の業です。

 そこで、日本企業各社は北京や上海に既に数年間駐在して、ある程度中国語も話せるようになり、中国での生活に慣れた駐在員を内陸部に横滑りさせ、比較的日本人インフラが整っている北京、上海などには日本から中国語を話せない駐在員を持ってくる、ということを考えているようです。

 当社は日本企業の駐在員の引越の仕事をさせて頂いていますのでよくわかるのですが、最近は、今まで日本企業が進出していなかったような内陸部の都市に引っ越す日本人が増えています。このため、北京の日本人駐在員の中には、自分もいつ内陸部に送られるかわからない、とビクビクしている人もいるようです。

 ただ、私個人的には、成長する内陸部市場を開拓する仕事は、非常に楽しいのではないかと思います。そんな話があれば、私なら自分から手を挙げてでも行きます。確かに北京、上海と比べれば生活は不便かもしれません。しかし、少なくとも、景気の低迷が続く日本に返されて後ろ向きな仕事をしたり、リストラの対象になったりするよりは、ずっと良いのではないでしょうか。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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