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急速にしぼむ中国不動産バブル (2010年08月02日)

 先日、北京の国際貿易センター展示場で行われた「2010北京夏季房地産展示交易会」に行ってきました。

 この展示会は、不動産開発会社などがブースを構え、来場した投資家に自社の開発プロジェクトを知ってもらうと同時に、その場で商談まで行い不動産を買ってもらう、という主旨のものです。

 今回の展示会、一言で表現すると「うら寂しい」という感じでしょうか。

 私、3ヶ月前に開催された春季の展示会にも行ったのですが、その時は入場料が10元(135円)であるにも関わらず来場者が殺到。やっとの思いで中に入ってからもところ狭しと設置された不動産開発会社のブースにたくさんの人が詰めかけ、まさに「熱狂」という言葉がふさわしい状態でした。

 それが今回は入場料が2元(27円)に大幅値下げになったにも関わらず、入り口はガラガラ。すんなりと中に入るとブースは全て埋まっておらず、それでも不動産開発会社の売り子と来場者が10:1ぐらいの割合で来場者の方が圧倒的に少なく、会場全体が「いくらがんばっても売れないよ」という無力感に包まれていました。

 3ヶ月でこれだけ大きな変化を引き起こしたのは、中国政府が4月に打ち出した不動産価格抑制政策です。

 「何しろ借金できるだけ借金して、値上がりする前に早くマンションを買え!」という空気が支配する、完全にバブル状態になっていた不動産マーケットに対し、中国政府は「3軒目に対する融資禁止」、「2軒目の最低頭金を30%から50%に引き上げ」という融資規制の冷や水を浴びせかけました。

 この冷や水の効果は絶大で、中国国家統計局の発表によれば、中国の5月の不動産販売価格は前月比では0.2%の上昇と伸び率が4月の1.4%の上昇から大幅に減速、一部のマーケットでは価格の下落が始まりました。

 これにより、マーケットの空気は「値上がりする前に早くマンションを買え!」から一転、「どこまで下がるか様子を見よう」に変わりました。

 このため、中国の不動産販売は激減、上海に1万店ある不動産仲介店のうち、5月の成約がゼロの店は約4,000店、倒産、休業に追い込まれた店も2,000店に上ると言われています。

 急速にしぼむ中国不動産バブル。この急激な空気の変化は、中国の不動産マーケットがいかに実需とは関係のないところで、市場の上がり下がりに敏感に反応するギャンブラーたちの博打場になっていたかを表しているのではないかと思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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