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中国人観光客のマナー問題 (2010年10月30日)

 今後、日本へ旅行に行く中国人観光客が増えるに従って、日本で大きな論議を巻き起こすことになると思われるのは、中国の人たちのマナーの問題です。

 京都の嵐山では、トイレを使用しても流さない、許可も無く人の家を撮影する、食べ放題を1人分頼んで他の人も一緒に食べてしまう、買わないうちから商品の包装を開けてしまう、などなど、既に中国人観光客のマナーの悪さが問題となっているようです。

 また、浅草の浅草寺、秋葉原の大型電器店などのトイレのゴミ箱には、使用済みのトイレットペーパーが大量に捨てられ、関係者は困惑しているそうです。

 今後、日本の観光地では中国人観光客に対して、「おカネをたくさん落としてくれるのはありがたいが、マナーが悪いのはどうにかならないか」という、歓迎と困惑が交錯した複雑な感情を持つ人が増えるのではないかと思います。

 中国人観光客のこれらの行動は、日本の常識からすれば完全にアウトのものばかりですが、中国に住んでいる私から見れば、いつもみなさんが中国でやっていることばかりですので、ほとんどの人たちが悪気は無いのではないかと思います。

 「旅の恥はかき捨て」とばかりに、いつも中国ではやらないような無茶苦茶なことを日本に行ってやっているのであれば、それはけしからんことですが、中国人観光客のみなさんは中国の自分たちの習慣を日本に行っても続けているだけなのです。

 そうした日本とは違う習慣や常識が形作られる背景には、1つ1つに中国特有の事情があります。

 例えば、使用済みのトイレットペーパーをゴミ箱に捨てる習慣。これは中国の、特に田舎では、トイレットペーパーの質が悪く、水洗トイレに流すと溶けずにすぐに詰まってしまうため、みなさん使用済みのトイレットペーパーはトイレの中に設置されているゴミ箱に捨てるのが常識となっているためです。中国の田舎では、逆にトイレに流して、詰まらせてしまう方がマナー違反なのです。

 ですから、この件は「日本のトイレットペーパーは溶けやすいので、トイレに流しても詰まりません。使用済みのトイレットペーパーはゴミ箱には捨てずに、トイレに流してくださいね」ときちんと説明してあげれば、すぐに解決するはずです。

 こうした習慣や常識の違いを解消するために、先日、在日本中国大使館は公式ホームページに「中国公民向け訪日旅行に関するお知らせ」を掲載し、「日本では部屋に入るときには玄関で靴を脱ぎます」とか、「デパートでは値切ってはいけませんよ」など、中国人観光客に日本旅行の際の注意点や心得を紹介しました。在日本中国大使館の許沢友総領事は「日本は非常にマナーを重んじる国。そのため、中国人観光客に「マナーを守る」とはどういうことかを知らせたかった」と話しています。

 今後、日本を旅行する中国人観光客が増えるに従って、日本人と中国人が接する機会が
更に増えていくものと思われます。そうした際には、お互いが相手の習慣や常識を理解し尊重して、気持ちよくお付き合いをして頂けたら良いな、と思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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