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中国の農民がカギを握る世界の食糧危機 (2010年12月01日)

 私は中国の農村の農家にホームステイをさせて頂いたことが何度かあります。農家で出して頂いた食事はどれもとてもおいしかったのですが、驚いたのは、どの料理もよく見ると肉が使われておらず、ほとんどが穀物と野菜で作られていたことでした。

 農家の方に訊いてみると、以前は肉を食べるのは年に一度、春節(ちゅんじえ、旧正月)のときぐらいだったが、今ではよく食べるようになった、とのことでした。しかし、「よく食べるようになった」と言っても、その「よく」は1ヶ月に数回とのことで、普段は専ら穀物と野菜ばかり食べている、とのことでした。

 私は小学校の家庭科の授業で、「肉のたんぱく質、ごはんやパンの炭水化物、野菜のビタミンをバランスよく採らないと病気になりますよ」と教わりましたので、ほとんど肉を食べないでも病気にならない農家の方々が不思議だったのですが、よく考えてみれば、肉食をしないお坊さんやインド人が特に病気がち、という話もあまり聞いたことはありませんので、大豆など植物性のたんぱく質である程度の栄養は補えるのかもしれません。
 
 今、世界では食糧危機の到来が危惧されています。

 現在、世界の人口は約70億人ですが、既に約10億人の人が飢餓に苦しんでいると言われています。しかし、世界の穀物生産量は年間20億トンあり、それを70億人で均等に割ると1人年間285kg、1日780g食べられるわけですから、結構お腹いっぱいになりそうです。

 それでも10億人の人が飢えているのは、肉食に問題があるようです。

 例えば、牛肉を1kg作るためには、そのエサとしてトウモロコシが15kg、豚肉の場合は5kg、鶏肉の場合は3kg必要なのだそうです。

 このため、中国の農家の方々を見習って肉食の回数を少なくすれば、10億人の飢えている人たちも救えますし、農薬や遺伝子組み換えで無理矢理生産量を増やさずに、安全な有機栽培をしていても、食糧危機の到来は防ぐことができるようです。

 逆に、今、1ヶ月に数回しか肉を食べていない、7億人いると言われている中国の農民が、私たちのように毎日肉を食べ始めたら、恐ろしいことが起こりそうです。中国は世界一の外貨準備高にものを言わせて世界中の穀物を買いあさる。そして、中国の農民が毎日ステーキを食べる一方で、貧乏な国の人々はトウモロコシも買えずにバタバタと餓死していく...。

 そんな地獄絵図のような光景を現実のものとしないためには、中国の農民に「オレたちだって、あんたたちみたいに毎日、肉、食べたいよ!」と言われないように、今のうちから彼らを見習って肉食の回数を減らす努力をする必要があるのかもしれません。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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