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半年で45%の賃上げ! (2011年02月01日)
今年の1月1日から、北京市の最低賃金が従来の960元(12,000円)から200元(2,500円)、率にして約20%上がって1,160元(14,500円)となりました。
北京市の最低賃金は昨年の7月1日にも800元(10,000円)から960元へと20%引き上げられていますので、わずか半年の間に45%も引き上げられたことになります。 これは昨年からのインフレによる物価高で、最低賃金では生活できなくなってしまう人が出ることを防ぐための政策です。消費者物価指数(CPI)の上昇率は上がったと言っても前年同月比5%程度ですが、生鮮野菜など一部の食品は1年前より20%も30%も上がっているようですので、やはりこれぐらい引き上げておかないと生活が苦しい人が出てきてしまうのでしょう。 たまらないのは最低賃金でたくさんの人を雇っている工場など、低付加価値の労働集約型産業の会社です。半年で人件費が45%も上がったら、どう考えてもやっていけません。今後北京市では、人件費の上昇に耐え切れなくなった工場などの廃業が相次ぐことが予想されます。 当社も引越作業員の初任給は最低賃金でお願いしていますので、今回の北京市の法定最低賃金引き上げによる人件費の上昇は避けられません。しかし、当社は該当者がそれほど多くないこと、海外引越業は物流業界の中では比較的高付加価値であることなどから、業績に大きな影響を与えることはなさそうです。 今回、北京市だけではなく、重慶市や陝西省西安市なども最低賃金の引き上げを行ったようです。今後、インフレによる物価高が進む中で、中国全土で最低賃金を引き上げる動きが加速、それに従い、今まで人件費の安さだけを頼りに成り立ってきた低付加価値の労働集約型産業はどんどん淘汰されていくことが予想されます。 最低賃金の引き上げは、物価上昇局面での低所得者の救済、という意味合いが強いのですが、一方で中国政府としては、国内の産業構造を低付加価値から高付加価値に転換する、絶好のチャンスと捉えているのではないでしょうか。 |
コラムニスト | 柳田 洋 |
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最終更新日 | 2012-04-27 |