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高騰する中国の野菜価格 (2011年03月01日)

 中国の野菜価格高騰が止まりません。

 中国国家統計局が発表した「50都市の主要食品価格変動状況」によれば、今年1月上旬の野菜価格はたった10日間で、サヤインゲンが13.4%、チンゲンサイが9.2%、キュウリが7.3%も上昇したのだそうです。カブが10日でこれだけ上がれば万々歳ですが、中国に住んでいる私としては、他の野菜のこれ以上の値上がりは勘弁してもらいたいものです。

 これは「冬だから野菜価格が上がった」ということではありません。商務部が昨年11月に発表した全国36主要都市の18種類の野菜の平均卸売価格は、前年同期比で62.4%上昇したとのことです。これではいくら全体の経済成長率を8%以上に保ち、消費者物価指数上昇率を4%以下に抑えても、毎日食べる野菜がこんなに値上がりしてしまっては、庶民の生活感覚としては「大幅に苦しくなった」と感じるのが当たり前です。

 中国ではなぜこんなに野菜が値上がりしているのか?

 商務部は①豪雨や洪水など異常気象のため、②農業用ディーゼルオイル、農薬、労働者の賃金などコストの増加、③野菜の需要増加、④投機筋による一部野菜の買い占め、⑤農産品の国際価格の上昇、の5つの理由を挙げています。

 ①は今年の気候が異常でなければ解決しますし、④は中国政府が取り締まりに乗り出していますので解決できると思われますが、②、③、⑤の要因については、今後も継続していくことが予想され、野菜価格の上昇は今年も避けられないと思われます。

 野菜の値上がりで庶民があまり野菜を食べられなくなると、野菜不足でイライラする人が増えて、そのイライラの矛先が中国政府に向かうことも十分に考えられます。

 このため、中国政府も生鮮野菜輸送車の道路通行料免除で流通コストを引き下げたり、化学肥料メーカーに対する優遇で農薬価格を引き下げたりと、様々な対策を打ち出しています。しかし、それでも価格が上がり続けた場合は、「政府が価格に対する臨時の干渉措置を行う」のだそうです。要は、中国政府が販売価格の上限を決めてしまう、ということです。

 いかにも独裁国家らしい力技ですが、そういう無理なことをすると生産、流通が滞り、必ず出てくるのがヤミ物資です。

 どうしても鍋物に野菜を入れたくて、警察の目を盗んで夜中の公園でヤミ屋から1個100元(1250円)の「ヤミ白菜」を買う。

 そんな状況を現実のものとしないためには、中国政府には無理な価格統制よりも、供給の増大という王道を歩んで頂きたいと思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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