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iPhoneの最も魅力的な機能 (2011年10月31日)

 最近北京の街で、米アップルのスマートフォン・iPhoneを持っている人を見かけることが多くなってきました。地下鉄やバスの中でも持っている人をよく見ますし、当社スタッフのiPhone所有率も高いです。

 しかし、iPhoneの中国での販売価格は一番安いモデルでも約5,000元(6万円)。30歳前後のサラリーマンの給料1か月分に相当する金額です。いくら人気でも日本でのiPhoneの販売価格が30万円だったら、誰も買わないのではないでしょうか。

 それでも中国の人たちはiPhoneを買います。iPhone所有者の中国人の友人に訊いてみたところ「携帯電話の機能だけではなくて、デジカメにもなるし、音楽プレーヤーにもなるし、ゲーム機にもなるし、他にもアプリをダウンロードすれば何にでもなるんだよ。それらを1つ1つ買っていたらすごい金額になる。だから、5,000元のiPhoneは全く高いとは思わない」とのことでした。そうのたまう彼が、iPhoneを携帯電話以外の用途で使っているのはいまだかつて見たことがないのですが...。

 給料1か月分の値段でも、1度買ってしまえば様々な用途で使えることから、iPhoneを買った方が最終的にはお得という理由で売れているのはその通りだと思います。しかし、同じく多機能な他社のスマートフォンが爆発的に売れている、という話はついぞ聞いたことがありません。

 なぜ、中国ではiPhoneの一人勝ちなのか?

 それは、iPhoneには他社のスマートフォンには付いていない「面子(みぃえんつ、メンツ)が保てる」という機能が付いているからです。中国の人たちにとってのiPhoneの最も魅力的な機能は、「電話がかけられる」でも「写真を撮れる」でも「音楽が聴ける」でも「ゲームができる」でもなくて、「面子が保てる」なのです。

 今、北京のオフィス街では、iPhone所有者が増加するに従って、「ホワイトカラーならiPhoneぐらい持っていて当たり前」という雰囲気が醸成されつつあります。このため普通の携帯電話を使っていると、何となく肩身の狭い思いをするので、みんな給料1ヶ月分の大金をはたいて、無理をしてでもiPhoneを買うのでしょう。

 中国マーケットにはこうした本来の実需を上回る「面子消費」の部分が少なからずあると思います。

 「エグゼクティブには○○の車がふさわしい」とか、「お金持ちなら△△の製品ぐらい持っていないと」などなど。そうしたプライドとコンプレックスを両方くすぐるような雰囲気を醸成して、ターゲットとなる消費者の「面子消費」のトリガーを引くことができれば、日本企業が中国マーケットでiPhoneのような大ヒットを飛ばすことも夢ではないのではないか、と私は思います。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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