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5月4日夜、ネットで読んだ中国動静を伝える・・・ (2007年03月04日)

 5月4日夜、ネットで読んだ中国動静を伝える共同通信記事のタイトルは「中国、反日デモ発生なし 抗日記念日に厳戒態勢」であった(共同通信- 5月4日20時17分更新)。「5・4運動」記念日(中国では略して「五四」と呼ぶことが多い)を「抗日記念日」を呼ぶことに違和感を覚えた筆者はその後テレビ東京のニュース番組ワールドビジネスサテライトでも「抗日戦争記念日」という字幕を見た。そして、翌日多くの大手新聞も同じような表現を用いて記事を掲載し、用語解説もこの線を貫いている(例:中学生向けニュース毎日中学生新聞ニュースの言葉)。日本のマスコミでは概して「五四」は即ち抗日記念日となっている。

しかし、これは読者や視聴者に対する恐ろしい誤導(ミスディレクション)である。抗日記念日や抗日戦争記念日でこの日を呼ぶのは、恐らくこの時期の日本マスコミだけではないか。国民の対立感情を煽り立てると指摘されても仕方がない考慮を欠いた表現である。中国では「五四」はまず若者の祝日・「五四青年節」であり、抗日記念日と呼ばれるのは7月7日(盧溝橋事件記念日)のみである。

「五四」のきっかけは「パリ講和会議」が不平等条約廃棄を求める学生デモだったが、「五四」そのものを「抗日」で締め括ることは事実を無視した激しい偏見だと言わざるを得ない。そもそも共産党の教育の中でも「五四」は「帝国主義反対、封建主義反対、思想解放、新文化提唱」の運動、「五四精神」は「科学と民主」と定義されており、ことさら「抗日」を強調するものではない。

正確性を欠くセンセーショナルな報道は火に油を注ぐだけになるが、企業の中国情報収集はいっそう慎重にならなければならない。

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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