WJFCについて 講座・セミナー申込み 過去の講座オンデマンド配信 会員サービス 異文化人材データバンク コラム

コラムの詳細

「政冷経熱」ー政治(外交)関係は冷え込んでいるが・・・ (2007年03月04日)

 「政冷経熱」ー政治(外交)関係は冷え込んでいるが、経済的な関係は熱いーという日中関係の現状を喩える言葉は、陳水扁政権以来の中台関係にもよく用いられている。一歩踏み込んで、「政凍経熱」というべきだという人も増えてきた。今年の3月に開催された全人代で、台湾独立の動きに対し、武力行使に法的根拠を与える「反国家分裂法」が可決されて以降、中台対立が戦争を誘発しかねない危機がいっそう高まったからである。

台湾では「反国家分裂法」に反対する数万人規模のデモも行われており、これで台湾の「去中国化」(脱中国化)が一気に加速するかのように思えていたが、野党2党首(国民党連戦主席と親民党宋楚瑜主席)の相次ぐ大陸訪問で緊迫していた雰囲気が再び緩和してきた。そして世論調査で分かったことが、陳水扁政権に対する支持率が急降下したのに対し、国民党は党首の訪中によって人気が与党を凌駕するまでに急上昇した。民心は斯くも変り者なのかと目を疑ってしまうほどだが、「民以食為天」(民は食をもって天と為す)という国民性は結局、台湾も大陸もまったく同じだと納得するところも多い。

60年振りに国共首脳会談を敢行させた連戦氏への大陸側の「お土産」は次の3つである。(1)台湾にパンダ2頭を贈呈する。(2)中国住民の台湾旅行を近く開放する。(3)10種類以上の台湾産果物の輸入関税をゼロとする。何れも台湾側の同意を得て初めて現実的になるものだが、上手く台湾人の民心を捕捉した魅力的な「お土産」に違いない。特に台湾旅行の開放と台湾産果物のゼロ関税化は、陳水扁政権の支持基盤である南部農民を含む多くの台湾人に実利をもたらすことになるため、陳水扁総統の対応はより難しくなるに違いない。

台湾海峡を挟む政治情勢は最終的に経済、より露骨に言えば実利によって決められるのかも知れない。

コラムニスト 文 彬 070331bun
参照URL
最終更新日 2011-08-20

 

意見投稿・レビュー

採点
コメント

※投稿には当フォーラムの会員登録が必要です。 ログインはこちら

今までのレビュー一覧