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従業員千人以上の縫製工場を率いる汪継文氏・・・ (2007年03月04日)

 従業員千人以上の縫製工場を率いる汪継文氏(日系企業・上海服良時装有限公司総経理)がWJCF月例会の講演で面白いことを紹介した。日本人幹部がミスを起こした若い中国人現地社員を叱ると、彼は恥かしそうに頭を掻きながらニコニコする。これを見た日本人は「間違ったら頭を下げて謝りなさい。何故笑うんだ!」と益々腹が立つ。すると、今度は中国人の方も顔を凍らせて日本人をにらみ返すようになり、雰囲気はたちまち険悪になってしまう。日本人幹部は「恥かしそうにニコニコする」ことは中国人の反省や陳謝のしぐさであることを知らないし、中国人現地社員も自分のしぐさは日本人の前では誤解されることを知らないからこういったギクシャクが生じるのである。

これを聞いて自分の経験したことが思い出された。大連にいる兄の家を訪ねた時のことだった。ちょうど兄のビジネス上の友人も何人か居合せていたので、名刺を出して挨拶した。後で兄が「彼らとは普通の仕事仲間だから、そんなに平身低頭されると変に思われる」と不快そうに言った。たぶん挨拶の時、日本でいつもやるようなお辞儀をしたから兄の目には異様に映ったのだろう。

さらにかの有名な「メイワク発言」が思い出された。田中角栄元首相の「過去数十年にわたって、わが国が中国国民に多大なご迷惑をおかけした……」という発言に対し、若い頃日本を留学し、柏木(現在の東中野)の下宿生活を過ごしていた周恩来元総理が「中国国民に迷惑をかけた(中国語:添了麻煩)との表現は中国人の反感を呼ぶ。中国では『添了麻煩』は婦人のスカートに水がかかった時などにしか使わないからである」と説明した。重みのある言葉であっても中国語に直訳すると、かくも温度差が大きくなってしまう。もっとも「メイワク発言」の背後には当時の台湾派議員の牽制があったと言われているが。

異国人同士のコミュニケーションはそれほど難しいものだ。メッセージを発信する場合、まずそのメッセージは相手にどのように受取られるかを把握しなければ誤解が付き纏う。また、メッセージを受取る側もメッセージを正確に理解する為の予備知識が必要である。

コラムニスト 文 彬 070331bun
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最終更新日 2011-08-20

 

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