WJFCについて 講座・セミナー申込み 過去の講座オンデマンド配信 会員サービス 異文化人材データバンク コラム

コラムの詳細

趙、銭、孫、李、周、呉、鄭、王・・・ (2007年03月04日)

 趙、銭、孫、李、周、呉、鄭、王・・・。

《百家姓》とは宋の時代、銭塘(今の杭州)にいた読書人が文字学習の啓蒙読物として中国人の主な苗字を集めて作ったものであり、上記は504の苗字を載せた最初の8文字である。しかし、数百年を経た現在、上位8苗字は下記のようになっている。

王 、李 、張、劉、陳、楊、趙、黄。

何れも数千万単位の大姓だが、中でも王は一億人超と世界一多い苗字であるため、道理で中国は民主主義ではないわけだと冗談を言う人もいるほどである。

10,129もの中国人の苗字(《中華姓氏書法大詞典》)にはほとんど良い意味の文字が使われているが、発音上喜ばしくないものもある。「苟」がその一つである。発音が「狗」(Gou、犬の意)と同じであるため、苟家に生まれたというたけで人々からかわれたり苛めたりされてしまうこともよくある。若い女性でも進んで苟家の若者のところへ嫁ぐ者は少ない。

ところが最近、苟姓の人々は自分の祖先の苗字が元々は「敬」であって「苟」ではないという事実を発見した。1,400年前、南北朝時代は祖先が苗字として「敬」を使用していたが、時の皇帝・石敬塘の「敬」を憚るため、不本意ながら自分の苗字の半分を消して「苟」だけを残したのだそうである。

これを知った登封市の玉台村に住む50世代の苟姓村民は直ちに戸籍の苗字を元々の「敬」に改るよう政府に訴えた。

夫婦別姓の中国においうては生まれた時や親が離婚した時にだけ許される苗字改正だが、お堅い役所にも流石に同情心が芽生えたのだろうか、今回は「史実尊重の精神」に則って異例の速さで戸籍の修正を完成させたという。心温まるニュースである。

コラムニスト 文 彬 070331bun
参照URL
最終更新日 2011-08-20

 

意見投稿・レビュー

採点
コメント

※投稿には当フォーラムの会員登録が必要です。 ログインはこちら

今までのレビュー一覧