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今の給料よりも将来のキャリアパス・・・ (2007年03月04日)

 「優秀な人材を確保できるかどうかが、今後、中国ビジネスの成否を決める」。中国で会社を経営する中国人経営者の方々は、みなさん異口同音にこう言います。

彼らの会社は、毎年ものすごい勢いで成長していますので、とてもではないですが、社長が1人で会社の業務を全て仕切ることなどできません。信頼できる優秀な部下たちが、各部署や子会社の実務を仕切ってくれることにより、社長は初めて「会社を成長させる」という、社長本来の仕事ができるようになるのです。

さて、中国人の人材、というと、ちょっとでも高い給料を提示する会社があれば、すぐに転職してしまうので、育ててもムダである、というのが日本では定説になっています。

このため、日本企業の中国駐在員事務所や現地法人は、一般的に重要なポジションには全て、日本から来た日本人駐在員を配置し、いつやめるかわからない中国人社員には、重要な仕事はやらせません。

その結果、中国人社員は十何年働いても日本人駐在員より職位が上になることはありえず、従って、将来的に給料が著しく上がることも期待できないため、優秀な人材は集まらず、時間を切り売りするようなやる気のない人しか集まらなくなります。

そういう時間切り売り感覚の人たちは、少しでも自分の時間が高く売れた方が良い、と考えますので、高い給料を提示する会社があれば、すぐに転職してしまいます。そうすると日本企業は「ほーら、やっぱり中国人社員は信用できない」と考えてしまうのです。

まさに、悪循環...。確かに、中国の労働者の大部分を占める、時間切り売り感覚の人たちは、自分の時間がどれだけ高く売れるかが最大の関心事ですので、給料の高い会社があれば、すぐに転職してしまうのは事実です。

しかし、会社に大きな利益をもたらしてくれる優秀な人材は、今の給料よりも、将来のキャリアパスを重視します。

彼らがその会社に入るかどうかの判断基準は「この会社に入ることによって、自分は成長することができるかどうか」ですし、彼らが入社後、その会社に残るかどうかは「この会社は自分のために、どんなキャリアパスを用意してくれているか」にかかっているのです。

中国の優秀な人材は、将来、実力次第では社長になって、ケタ違いの収入を得られるチャンスがある、というキャリアパスを見せてもらえば、今の給料が他の会社より安くても、会社に残るのです。

コラムニスト 柳田 洋 Yanagita
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最終更新日 2012-04-27

 

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