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第三話 復旦大学での講義 (2007年05月20日)

  4/17(火)18:00。開演30分前に、会場である復旦大学の教室に到着した。既に半分以上の席が埋まっている。時間前倒し!? 中国でこんな光景は初体験だ。その後どんどん席は埋まっていき、開始時間の18:30には、4人がけの席に5人が、さらに立ち見の学生さえいる。定員85人の教室に、約120人もの学生。もの凄い熱気だ。



 上海の北東に位置する名門、復旦大学。その外文学院(外国語+外国文学の学部)主催の外国語フェスティバルでの講義を依頼され、引き受けた。講義の名前には、本コラム「老松の猫虎飯店」をそのまま流用。中国人の若者にインパクトのある名称に、千客万来を託してみた。「猫虎飯店」の語感の威力か、世話役の学生達の努力の賜物か、結果は冒頭の通り超満員。感謝で胸が熱くなる。

 聴講する学生は、主に日本語学科の2年生と3年生が中心。だが、日本語専攻の学生以外にも、出席者は多数。いくら猫虎飯店でオブラートに包んでいたとしても、中日差異と云う非常にセンシティブな問題ゆえ、不測の事態が起こらない保障は無い。不安をはらみつつ私の講義は始まった。

 しかし、その懸念は私の最初の一言で払拭された。“老松の猫虎飯店” それだけ発声しただけで、会場全体が爆笑に包まれた。 “自分の四声のミスにより、変な意味にとられか?”と不安が一瞬頭をよぎったが、皆の表情からは、猫虎飯店の中国人にとって妙な響きと組合せが、明らかに笑いを誘発している事が見て取れた。猫虎飯店、恐るべし。

 1. Who is 老松?   
 2. 中国人-日本人, what is the 差異 ? 
 3. 中国人&日本人 良好関係構築, how should we do ? 
 4. 中国人 日本の印象 during the 1st trip to 日本  
 5. Logical Thinking

 上記の流れに沿って、笑いのあるリラックスした雰囲気の中で順調に講義は進み、無事終了する事ができた。講義で一番伝えたかった事。それは、中国人と日本人、考え方が全く違う両国民。その違いは、先天的なDNAの差によるものでは無く、育った環境の後天的な違いが支配的である。その違いを否定せず、違いの分析を楽しみ、相互理解の第一歩を踏み出す。違いは、それは素晴らしい事だ。同じだと手を組む必要は無い。違うからこそ、相互理解の過程の中で軋轢が生じ、その軋轢の中から新たな何かが生まれるのだ。生み出せるのだ。これこそがwin-winの関係。弊社の目標と同じで、中日が有機結合し、昇華させ、全く新しい何かを創造する。言うのは易し、行うは難し。それを支える基本、それはお互いの尊重、それこそが一番大切な点である。

 今回の講義に強い手応えを感じた。こちらの気持ちも良くなる反応を、学生達は返してくれるから。また何より、目が生き生きとしている。目に力がある。これぞ将来を担う好奇心に満ちた若者の目だ。予定の1時間が経ち終えようとすると、全員から“もっとコール”。15分延長して話を続けた。さらに、講義後も列をなし質問の連続。皆、将来の中国と日本の懸け橋になってくれる若者だ。心の底から感謝の気持ちで一杯になる。日本語の勉強を始める際に、「お前、何で日本語専攻なんだ」と、親戚一同からの非難の洗礼を通過してきている人も少なくない、と聞く。深い感謝の念で、心の中で手を合わせた。

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 謝辞)執筆に当たり御協力戴いた皆様方。敬称略。本講義の企画発案のyunyun朱,学生世話役代表のsunny王,そして出席された全ての学生さん達に、心より感謝申し上げます。また、復旦大学 外文学院 学工組長 徐瑾先生には格別なる御配慮を戴き、ここに深謝申し上げます。

 注:『老松の猫虎飯店』の著作権は、全て松原弘明に帰属します。無断転載を堅く禁じます。

コラムニスト 松原弘明 Right
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最終更新日 2011-08-20

 

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