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第24話 新年快楽!サンタさん御苦労様! (2009年01月30日)
上海は活気がある。とかく忙しい。その上海で目にする一番忙しい人。私が思うに、それはサンタクロースであろう。その理由2点。1つ目、中国のサンタは2人で居る事が多い。左右対称に1対でサンタが並ぶのが普通なのである。したがって、他の国の2倍のサンタが中国には動員されている。2点目は労働期間である。他の国々では、Xmasの約1ヶ月前に始まり、Xmas当日の12/25でサンタの仕事は無事終了となる。ところが中国では、仕事始めは他の国々と変わらないが、Xmasの12/25を過ぎようとも、元旦を迎えようとも、1月下旬になろうとも、サンタの御役目は一向に終わらない。2月の春節明けまで延々と労働は続くのである。1ヶ月弱の他の国とは違い、年によって春節の時期が変わるものの、この中国でのサンタの労働の長さは2.5倍以上にもなり、上記の人数の2倍と相俟って、サンタの労働総時間は都合5倍にもなってしまうのである。中国のサンタは本当に大変なのである。
ところで、上記理由の1点目に関連し、面白いサンタを見つけた。福建省生まれのカップルのサンタである。名付けて「サンタ対になる」。この2人居る意味は、中国ではかなりこだわりがある。干支の祝いものも男女の対であるし、結婚祝いのお返しのチョコも対である。また、子供誕生時に配るタマゴも2つである。陰と陽の思想からであろう。 さて、この対は私にはまぁ受け入れ易いのであるが、後者のサンタの長い労働期間はどうもいけない。上海在住5年を過ぎるも、この2月の声が聞こえてもなおサンタと会うのは、何とも季節感が崩れていけない。季節感の崩れと言えば、“明けましておめでとうございます”に相当する中国語の“新年快楽”についても言える。中国では旧暦で正月を祝うのであるが、最近では1月1日の元旦も“新年快楽”が溢れている。さらに、中国人にとって祝い事は前倒しでも構わないので、12月末から既に“新年快楽”が巷に溢れる。それが延々と2月の春節明けまで続くのである。ちょっと考えてみて欲しい。“明けましておめでとうございます”が1ヶ月半以上なのである。 異文化差異や習慣の差を、つい善し悪しで考えてしまう悪癖を常に肝に命じ自戒しているつもりではあるが、この季節感の無さについては、どうも慣れない。賑やかで熱熱閙閙(るーるーなおなお)で派手なものを好む中国人、侘び寂びにより美しきものや楽しさがパッと散る事を善しとする我々日本人。牡丹と桜、国花はその違いをよく表しているではないか。
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コラムニスト | 松原弘明 |
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最終更新日 | 2011-08-20 |