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第10話 イントネーション固定の中国語 (2007年12月12日)

 現在世界で使われている数千の言語、その全ての言語には、当然それぞれの特徴がある。日本語も然り、また中国語も然りである。中国語の特徴を挙げてみると、表現が短く済む、話し声が大きくなる、注1) 歌う様に話す、囁きづらい、聾唖者が話せない、歌詞カードや字幕無しでは歌の意味が掴みにくい、注2) 重複表現を多用する、注3) 短い表現により頭の回転が速くなる、等色々とあるが、それらは全て四声に起因しているのである。今回は、その四声が醸し出す中国語の特徴を、もう一つ紹介しよう。 

 まず、下図を御覧になって戴きたい。“設定”と“温度”、2つの単語の組み合わせは、“設定温度”と“温度設定”、それぞれを声を出して読んで見ると、2つのイントネーションは異なる。参考になる音声が無いと難しいかも知れないが、上段を参考にしてゆっくり声を出してみると、御理解戴けるかと思う。この単語の組み合わせによるイントネーションの変化は、他言語でも同じである。英語の例を中段に示す。日本語と同じ様に、単語の組合せによりイントネーションは変化する。ところが、下段にある中国語はと言うと、語順が逆になっても、イントネーションは寸分たがわずだ。


 今回のネタは、筆者の業務の一つである喋る半導体のマーケティングの中で気付いた。中国は四声が命。よって、中国語のイントネーションが変化しない事は、言われてみれば当たり前。中国語を少し勉強した事のある方は、直感で理解できるであろう。下に四声を図表で表す。上段は記号としての四声、下段は実際の発声時の音程を表す。三声については、ゆっくり話す時は点線まで発声し上がって終わる。しかし、普通の会話のスピードであれば点線部分は発声されず、ただ低く下がるだけである。ここでお気付きの通り、この四声により、中国語は3つの音程を正確に発声しなければ全く通じない、世界でも珍しい特徴を有している。この特性が、イントネーション固定を生んでいる訳である。


 だから何? それはそうだが、だから何なんだ? と自問自答してみると、新たな仮説が。中国語は、時と共にイントネーションが変化しない、または極めて変化しにくい言語ではないか? 近い内に執筆しよう。

謝辞)執筆に当たり御協力戴いたRainy李,Yurin周、ありがとうございました。
注1)筆者執筆の以下エッセイを参照下さい。SUPER CiTY CHiNA中国の音「中国人の声は何故デカい?後編」
注2)SUPER CiTY CHiNA中国の音「耳語 中国人はヒソヒソ話ができない!?」
注3)老松の猫虎飯店「謝謝謝謝謝謝謝謝」
注4)三声-三声と連続する場合、二声-三声と変化する。しかし、これは中国語の厳密なルールによるものであるため、本題とは無縁の一つの例外である。


注5)『老松の猫虎飯店』の著作権は、全て松原弘明に帰属します。無断転載を堅く禁じます。


コラムニスト 松原弘明 Right
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最終更新日 2011-08-20

 

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